日銀がインフレ目標の導入を決めました。遅きに失した感がありますが、効果はさっそく出ています。ここで政府と日銀はもう一歩、踏み込まねば。
日銀が十四日に目標の導入を発表すると、まず為替市場が円安に動きました。半年ぶりの一ドル=八〇円台です。株式市場も好感し、東京証券取引所の平均株価は九五〇〇円台を回復しました。ギリシャの債務金融危機が一段落した影響もありますが、日銀が果断に動けば金融市場も反応します。
「独立性」は政策手段に
インフレ目標を求める声は十年以上も前から出ていました。本紙も米連邦準備制度理事会(FRB)が導入を決めた後、一月二十七日付社説で「日本も導入に決断を」と提言しています。
たとえば五年前に導入を決めていれば、もっと早くデフレ克服を展望できたかもしれません。
「中長期的な物価安定の目処(めど)」という目標は従来の「理解」というあいまいな言い方に比べれば、一歩前進ではあります。しかし、まだ十分とはいえません。
まず、肝心の達成時期と達成できなかった場合の責任を明示すべきです。
なぜ時期と責任の明示が必要か。それは日銀いじめではなく、政策手段について「日銀の独立性」を裏付けるためにこそ不可欠なのです。
サラリーマンが上司に業務目標を申告する場合ならどうか。たとえば「私は来年までにこの目標を達成します」と約束する。できなければ、昇給や昇進に響くでしょう。少なくとも説明責任が問われます。そうした仕組みを前提にして、上司は「分かった。やり方はおまえに任せる」という話になります。
金融政策も同じです。
日銀が「三年以内に消費者物価上昇率2%を達成します。できなければ総裁を辞任します」といえば、政府は「やり方は任せる」という以外にない。
デフレで増税できない
達成時期と責任を明示するからこそ、政策手段について裁量を発揮できる。中央銀行の独立性とは本来、そういう話なのです。
次に、日銀が掲げた「当面は消費者物価上昇率で1%を目処とする」という目標も低すぎます。1%では、なにか外的ショックがあれば、たちまち0%に逆戻りしかねません。世界の中央銀行を見渡しても、1〜3%あるいは2%が中心になっています。
見逃せないのは消費税引き上げとの関連です。野田佳彦政権は二〇一四年四月に8%、一五年十月に10%への消費税引き上げを目指しています。増税実施には経済状況の好転が条件になっていますが、鍵を握るのは「それまでにデフレを脱却しているかどうか」という点でしょう。
ところが日銀自身が示している経済見通しによれば、一三年度に消費者物価指数はようやく前年度比0・5%のプラスに転じるにすぎません。
つまり、消費税を引き上げ始める一四年にデフレを完全に脱却しているかといえば、とてもそう言えそうにない。これでは野田政権が消費税引き上げを断行すれば、また「デフレに逆戻り」という話になりかねません。
私たちは消費税引き上げの前に行財政改革などやるべき仕事があると考えます。ただ、増税を目指す政権の立場で考えても、政府は日銀に注文をつけるべきではないでしょうか。
つまり「政府は一四年から増税を目指しているのだから、日銀もそれまでにデフレを脱却する目標を掲げてほしい」という要請です。国民からみれば、政府と日銀はどちらも経済政策を実施する主体であり、同じ課題に向かって協力するのは当然でもあります。
とはいえ日銀が日銀券を乱発し、大インフレになっては大変だから「そこはインフレ(物価安定)目標を掲げて、政府や日銀がしっかり責任を果たしてくださいね」と国民が監視する。そういう枠組みが望ましい。
国民から健全な経済運営の責任と権限を委ねられた政府は目標設定に積極的に関わるべきです。日銀に任せてしまうと、仕事を楽にするために、緩い目標を設定する可能性もある。そうなればモラルハザード(倫理観の欠如)です。現状はどうなのか。政策決定の枠組みに、そんな危険性を埋め込むべきではありません。
政府と日銀の政策合意
なぜ1%の目標でいいのか。いつまでに達成するのか。達成できないなら、どうするのか。日銀には説明責任があります。
説明が不十分なら、政府は日銀と政策合意(アコード)を結ぶべきでしょう。あるいは日銀法改正が課題になる。国民による統治の観点から、日銀のあり方をしっかり考えてみる必要があります。
ここまでしっかりとし、かつ正鵠を得ている物価安定目標が語れる新聞社があったことに、驚きである。インフレ目標に見当はずれなケチをつける凡百のマクロ経済学者と比べても素晴らしい。経済専門誌とされる日経新聞のマクロ経済「学」的知見と比べて非常に大きな差である。朝日新聞などは、全くの論外である。彼らマクロ経済学に対する言い分は、有害なだけだといえば言いすぎだろうか?
ともあれ、日銀の連中、特に企画局の連中のご意見を聞きたいものである。またぞろ「総合判断」だとするとか、インフレは中央銀行の金融政策だけでは引き起こせないなどと見当はずれなことをのたまうのだろう。逆質問したいものだ物価の安定はどこが政策的に担保するのだ、と。OECD諸国が採用する物価安定目標は、全くの根拠のないものなのかと?それとも日本経済は中央銀行の政策に左右されないほど、特殊な国なのか?物価目標が1パーセントなんてOECD諸国で、採用しているのは日本だけではないのか?中期的な政策目標の説明責任を持たない中央銀行は日銀だけなのはなぜなのか?エネルギー価格、生鮮食品を除いた物価目標を2パーセント以上、4パーセント以下にすることは先進国では常識なのに何故言葉を濁すのだ?マクロ経済学はインフレ、雇用、生産、通貨レート、経済成長率を扱う学問で、現状を説明できるツールである。
日銀総裁の白川は、政府や企業に外需を取り込めと間抜けたことを言っているが、為替レートは長期的には何で決まると思っているんだろう?市中に回る通貨であり、その巡航速度であり、かつそれを後押しする通貨供給量である。そしてそれらに対する人々の期待である。期待と政策信認が強ければ、インフレは起きる。
白川は、「学者」としての矜持があるのなら、デフレ下での増税などするべきではないと「正しい」ことを堂々と述べればいい。曲学阿世と名を残したくないのなら、そうするべきだろう。他のマクロ経済の状況を合理的に説明できない経済学者たちも同罪である。
日銀がインフレ目標の導入を決めました。遅きに失した感がありますが、効果はさっそく出ています。ここで政府と日銀はもう一歩、踏み込まねば。
日銀が十四日に目標の導入を発表すると、まず為替市場が円安に動きました。半年ぶりの一ドル=八〇円台です。株式市場も好感し、東京証券取引所の平均株価は九五〇〇円台を回復しました。ギリシャの債務金融危機が一段落した影響もありますが、日銀が果断に動けば金融市場も反応します。
「独立性」は政策手段に
インフレ目標を求める声は十年以上も前から出ていました。本紙も米連邦準備制度理事会(FRB)が導入を決めた後、一月二十七日付社説で「日本も導入に決断を」と提言しています。
たとえば五年前に導入を決めていれば、もっと早くデフレ克服を展望できたかもしれません。
「中長期的な物価安定の目処(めど)」という目標は従来の「理解」というあいまいな言い方に比べれば、一歩前進ではあります。しかし、まだ十分とはいえません。
まず、肝心の達成時期と達成できなかった場合の責任を明示すべきです。
なぜ時期と責任の明示が必要か。それは日銀いじめではなく、政策手段について「日銀の独立性」を裏付けるためにこそ不可欠なのです。
サラリーマンが上司に業務目標を申告する場合ならどうか。たとえば「私は来年までにこの目標を達成します」と約束する。できなければ、昇給や昇進に響くでしょう。少なくとも説明責任が問われます。そうした仕組みを前提にして、上司は「分かった。やり方はおまえに任せる」という話になります。
金融政策も同じです。
日銀が「三年以内に消費者物価上昇率2%を達成します。できなければ総裁を辞任します」といえば、政府は「やり方は任せる」という以外にない。
デフレで増税できない
達成時期と責任を明示するからこそ、政策手段について裁量を発揮できる。中央銀行の独立性とは本来、そういう話なのです。
次に、日銀が掲げた「当面は消費者物価上昇率で1%を目処とする」という目標も低すぎます。1%では、なにか外的ショックがあれば、たちまち0%に逆戻りしかねません。世界の中央銀行を見渡しても、1〜3%あるいは2%が中心になっています。
見逃せないのは消費税引き上げとの関連です。野田佳彦政権は二〇一四年四月に8%、一五年十月に10%への消費税引き上げを目指しています。増税実施には経済状況の好転が条件になっていますが、鍵を握るのは「それまでにデフレを脱却しているかどうか」という点でしょう。
ところが日銀自身が示している経済見通しによれば、一三年度に消費者物価指数はようやく前年度比0・5%のプラスに転じるにすぎません。
つまり、消費税を引き上げ始める一四年にデフレを完全に脱却しているかといえば、とてもそう言えそうにない。これでは野田政権が消費税引き上げを断行すれば、また「デフレに逆戻り」という話になりかねません。
私たちは消費税引き上げの前に行財政改革などやるべき仕事があると考えます。ただ、増税を目指す政権の立場で考えても、政府は日銀に注文をつけるべきではないでしょうか。
つまり「政府は一四年から増税を目指しているのだから、日銀もそれまでにデフレを脱却する目標を掲げてほしい」という要請です。国民からみれば、政府と日銀はどちらも経済政策を実施する主体であり、同じ課題に向かって協力するのは当然でもあります。
とはいえ日銀が日銀券を乱発し、大インフレになっては大変だから「そこはインフレ(物価安定)目標を掲げて、政府や日銀がしっかり責任を果たしてくださいね」と国民が監視する。そういう枠組みが望ましい。
国民から健全な経済運営の責任と権限を委ねられた政府は目標設定に積極的に関わるべきです。日銀に任せてしまうと、仕事を楽にするために、緩い目標を設定する可能性もある。そうなればモラルハザード(倫理観の欠如)です。現状はどうなのか。政策決定の枠組みに、そんな危険性を埋め込むべきではありません。
政府と日銀の政策合意
なぜ1%の目標でいいのか。いつまでに達成するのか。達成できないなら、どうするのか。日銀には説明責任があります。
説明が不十分なら、政府は日銀と政策合意(アコード)を結ぶべきでしょう。あるいは日銀法改正が課題になる。国民による統治の観点から、日銀のあり方をしっかり考えてみる必要があります。
2%以上で、超円高是正を
日銀総裁の白川方明さんはよもや忘れてはいまい。米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長が1月25日、2%のインフレの目標(ゴール)を打ち出したとき、氏は「FRBが現在日銀が行っている政策に近づいてきたという認識を持っている」と国会で答弁した。ところが、2月14日、日銀は消費者物価上昇率(CPI)1%を「メド」とすると決め、白川氏は「FRBのそれに近い」とのたまう。バーナンキ氏から何周回も遅れて走っている白川氏が「日銀が前を走っているんだ」と喧伝(けんでん)した揚げ句後ろに付き、「われわれはFRBに近いのだ」と声を張り上げるわけである。
税率込み…効力「?」
弁解をあげつらうわけではない。問うのは「CPI1%のメド」が日本経済再生にどれだけ効力があるかである。
考えても見よ。CPIというのは、消費税率込みである。昨年6月に与謝野馨経済財政担当相が消費税率引き上げ案をまとめたとき、筆者は「デフレをどうするのか」と聞いた。すると、傍らの官僚某氏が「いや、消費税がアップすれば物価も上がりますよ」と、言い放った。経済とは「経世済民」、その思想のひとかけらもない。
物価の下落幅以上に可処分所得が下がり続けるのが日本のデフレ病だ。消費税率引き上げでCPIがかさ上げて家計の手元に残る所得は減る。すると需要減退で物価は再び下がり、生産が落ち、所得が下がる。1997年の消費税率引き上げ後のデフレがまさにそれである。5%の消費税率が10%に引き上げられただけで、CPIは1%以上確実に上昇する計算になる。日銀が中長期的に1%のCPI上昇率をゴールにすると言っても、2015年までの政府の消費税引き上げ案で自動的に達成される。ならば「1%目標」とは事実上「0%目標」であり、「物価上昇率ゼロ」という日銀の金科玉条を堅持しているにすぎないではないか。
ドルもユーロも発行量増加
物価はお札の発行量と密接に関連する。新たにインフレ目標を打ち出した米FRBは2008年9月のリーマン・ショック以降、3倍以上ドル資金を発行し、高水準を維持している。明確なインフレ達成目標(ターゲット)を持つイングランド銀行(英国の中央銀行)は昨年秋以降、再びポンド資金発行を急増させている。
欧州中央銀行(ECB)は昨年前半まで欧州共通通貨「ユーロ」の追加発行に慎重だったが、昨年後半に方向転換した。ユーロ危機の元凶であるギリシャやポルトガルの暴落国債を大量に買い上げるために、量的緩和政策に踏み切ったのだ。
お札を刷る量的緩和路線の米欧の中央銀行に比べて、日銀は相変わらず「包括緩和」と言い続け、小出しの緩和路線を走る。東日本大震災直後には大幅に円資金を供給したが、その後は供給残高を上げ下げしている。今月14日には長期国債の買い入れ額を10兆円積み増すと決めたが、量的緩和では米欧のスピードにははるかに追いつかない。お札をたくさん刷った国の通貨が刷らない国の通貨に比べて安くなる。市場の需給原理からすれば当然の帰結である。通貨発行政策の差が超円高を生む。超円高と内需不足で企業は手元資金を国内投資に回さず、海外で工場を新増設する。なのに野田政権は国内が犠牲になる対外投資を称揚する能天気ぶりだ。
大震災後、政府は4次の補正予算を組み総額18兆円以上もの復旧・復興資金を投じているが、大半はバラマキであり、財源は増税である。降って湧いたようなおカネを手にした一部の業者が仙台などの夜の繁華街をにぎわしても、また、特定の階層の高額消費を呼び込んでも、しょせん一過性であり、雇用を永続的に増やす設備投資は減る一方だ。
円安→株高、設備投資
日銀が政策転換すれば超円高の是正は十分可能だ。円安に転じると、株価は反転、設備投資も増える。
米国の場合、設備投資回復こそバーナンキ議長のドル増刷作戦の最大の成果である。株価の回復とともに民間設備投資が回復し、かつての住宅投資に代わって景気を牽引(けんいん)し始めた。金融市場に注入されたドル資金が金融機関を通じて株式市場に回る。企業は株式市場で資金調達し、シェールガスなど新エネルギー分野に投資する。大震災後の日本にほしいのはこの好循環だ。
かの白川日銀総裁と「膝を突き合わせて話し合う」しか策がない野田首相は1%のCPI目標にご満足のようだ。これでは円高是正・脱デフレ、復興も再生も遠のく。せめて、2%以上にせよ、と詰め寄るのが首相の見識というものではないか。
日銀が追加金融緩和と望ましい物価水準の明確化に動いた。デフレからの脱却や円高の是正に強い覚悟を示し、思い切った措置を講じたことを歓迎したい。政府も日銀と歩調を合わせ、日本経済の再生に全力を挙げるべきだ。
日銀は資金供給のための基金を55兆円から65兆円に拡大し、増額分をすべて長期国債の購入に充てる。前年比1%の消費者物価上昇率を「中長期的な物価安定の目途(めど)」と位置づけ、その水準を見通せるようになるまでは強力な金融緩和を推進する。
昨年10〜12月期の実質成長率は、前期比年率でマイナス2.3%に沈んだ。足元では持ち直しの動きもみられるが、欧州危機などを背景に先行きへの不安は根強い。追加緩和で長期金利の一段の低下を促し、景気下振れや円高の圧力を和らげるのは妥当だ。
望ましい物価水準をもっとわかりやすく示し、金融緩和の意志をより鮮明に打ち出したのも理解できる。金融政策の透明性を高め、日銀の意図を明確に伝える努力を重ねることが重要である。
背中を押したのは米連邦準備理事会(FRB)の1月25日の対応だ。2014年終盤まで事実上のゼロ金利政策を続ける方針を表明し、前年比2%の物価上昇率を長期目標とすることも決めた。
これを機に政府・与党内でも追加緩和や明確な物価目標を求める声が強まり、日銀が政治的な圧力を無視できなくなったのは否めない。それでも日銀が次のステップに踏み出した意味はある。異例の金融緩和が長期化し、追加的な手段が限られるなかで、さらなる工夫の余地も探ってほしい。
デフレ脱却や円高是正は政府・日銀の共同作業である。金融政策だけに頼るのでは、根本的な問題の解決にならない。
決定的に弱いのは中長期的な成長基盤の強化だ。政府は法人減税や環太平洋経済連携協定(TPP)を柱とする成長戦略の策定を急がねばならない。財政の健全化を円滑に進める意味でも、避けて通れない課題だろう。東日本大震災の復旧・復興費の着実な執行などを通じ、当面の景気下支えに万全を期すのはもちろんである。
政府・与党が日銀にいたずらに圧力をかけるのは慎んだ方がいい。金融政策の運営は物価だけでなく、景気や金融市場の動向にも目配りしなければならず、柔軟性や機動性は確保しておくべきだ。
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デフレ脱却に向けて、日銀が政府と連携を強化する契機とすべきだ。
日銀が14日の金融政策決定会合で、望ましい物価上昇率の目安として「中長期的な物価安定の目途
めど
」を導入することを決めた。
「物価安定の理解」という従来のあいまいな表現を改めた。安定的な消費者物価の上昇率を「2%以下のプラス」とし、「当面は1%」を目指して金融政策を行う方針も明記した。
一定の物価上昇を実現する姿勢をより明確にして、日本経済の下支えとデフレ脱却への決意を示した点は評価できよう。
日銀に決断を促したのは、1月末の米連邦準備制度理事会(FRB)の政策変更である。
FRBは、長期的なインフレ率の目安を「ゴール」と表現し、「2%」を目指す方針を明示した。事実上のゼロ金利政策を少なくとも2014年終盤まで続ける方針も決めた。
これを受け、国会などで、日銀はFRBより金融緩和の姿勢が弱いとする批判が出ていた。
日銀は今回の「目途」の英訳を「ゴール」とした。物価安定の本気度は、FRBにひけを取らないとアピールする狙いだろう。
世界では、欧州中央銀行(ECB)も、物価目標の目安を示している。英国やニュージーランドは明確なインフレ目標を掲げ、達成できないと、中央銀行は原因や対処法を説明する義務を負う。
日銀の場合、達成期限や未達成の責任について定めがない。
安住財務相は「日銀は実質的にインフレターゲット(目標)を設定したと受け止めている」と、歓迎する考えを示した。
だが、日銀の白川方明総裁は記者会見で、「FRBの枠組みに近い」と述べ、英国のようなインフレ目標とは、性格が異なるとする考えをにじませた。
政府と日銀の見解に隔たりを感じさせる。日銀は「目途」を実現する期限や達成責任を明確化すべきではないか。
日銀はゼロ金利と量的緩和がセットの包括緩和を続けている。今回も量的緩和の基金を10兆円増やして65兆円としたが、効果は限定的とする見方が根強い。
デフレ克服には、日銀の金融緩和と政府の需要拡大策を組み合わせた連携が欠かせない。
政府と日銀がデフレ脱却に向けて政策協定(アコード)を結ぶべきだとする意見もある。定期的な政策協議で認識を共有し、戦略を抜本的に練り直すべきである。
(2012年2月15日01時16分 読売新聞)
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日銀が事実上の「インフレ目標」導入を決めた。だが、物価安定の達成は本来、政府の責任でもある。目標設定を日銀だけに委ねてしまうのではなく、政府が関与する仕組みを真剣に検討すべきだ。
米連邦準備制度理事会(FRB)が一月下旬にインフレ目標の導入を決めた後、日銀は導入にまったく後ろ向きだった。
それが一転、FRBの後を追うようにして導入に踏み切ったのは、国会で批判が高まったからだ。日銀は従来「物価安定の理解」という言い方で1%の数字を挙げていたが、与野党から「分かりにくい」と批判され、日銀法改正の話まで出ていた。
土俵際まで追い込まれ、ようやく重い腰を上げざるを得なくなった格好である。それでも肝心の問題がいくつか残っている。
まず消費者物価上昇率のめどに掲げた「1%」という数字が低すぎる。FRBの目標は2%、ユーロ圏の欧州中央銀行(ECB)は2%未満でその近傍、英国も2%である。なぜかといえば、1%では0%に限りなく近づく可能性が高くなってしまうからだ。それではデフレを脱却できない。日銀も2%を目指すべきだ。
目標を達成する時期、達成できなかった場合の責任についても何も触れていない。貨幣現象であるデフレは金融政策の失敗が最も主要な原因だ。にもかかわらず、日銀は二十年にわたってデフレを克服できていない。
「いつかは達成します」というのでは、白川方明総裁以下の能力評価が難しくなる。達成時期と責任の明確化が不可欠である。
もっと重要なのは目標設定に政府の関与をはっきりさせる点である。今回の経緯を見ても「政治の圧力に屈した」とか「独立性が危うい」といった論調があった。それは日銀の独立性に対する誤解あるいは無知に基づいている。
日銀が独立性を維持すべきなのは政策手段についてであって、政策目標を日銀が勝手に決めていいという話ではない。英国やノルウェーは政府がインフレ目標を決めている。カナダやニュージーランドなどは政府と中央銀行の協議で決める仕組みだ。
物価安定は健全な国民経済の基盤である。そんな大事な話には、民主主義統制の観点から見ても国民が選んだ政府が関与すべきではないか。政府が失敗すれば国民には選挙で交代を求める道がある。だが、日銀が失敗しても責任を問えない現状はおかしい。
至極ごもっともなご意見である。この程度の「社説」が記せない大手の日経、朝日、読売新聞は、インフレ率という標準的マクロ経済学を再度勉強し直した方がいい。米国が、あのサブプライムショック、リーマンショックを起こした震源地である米国が、ようやっとマクロ経済指標、失業率、住宅着工数、インフレ率、株価の回復が起き始めて経済成長率は2%台にある。翻って日本は、復興需要という特殊要因があるにしろここ20年間、ほとんど成長していない。外需も内需も成長させるには、需給ギャップを埋めるだけの財政出動と金融の緩和しかない。新発の長期国債を大量に買い込んでも過激なインフレにはならない。
さらに出口戦略に困るなどとぬかしている連中がエコノミストと称するもの達に多いのにも辟易する。いつから中央銀行が、出口、つまり金利を目標にマネーコントロールするなどという役割をになわされたのか彼らに聞いてみたいものである。中央銀行の政策は、金融システムの安定とコアCPIの管理であり、名目の経済成長率の基盤であるインフレ率の管理である。市場金利が上がっても、それはむしろ望ましいのではないか?資金需要、つまり設備投資、住宅投資が活発だということだからである。
2月17日(ブルームバーグ):日本銀行がデフレ脱却へ1%の物価上昇率を目指すと宣言し、10兆円の国債買い入れ増を決定した。しかし、エコノミストの多くは今回の金融緩和では目標実現には不十分とみている。資産買い入れ等基金を一気に100兆円規模まで拡大したり、外貨建て債券の購入に踏み切ることが必要だとの指摘が出ている。
意表を突く追加緩和により、ひとまず金融市場は株高・円安に反応した。信州大学の真壁昭夫教授は「10兆円の増額は短期的にポジティブサプライズをもたらしたことは間違いない」と指摘する。しかし、ブルームバーグ・ニュースがエコノミスト21人を対象に実施した調査によると、19人が物価上昇率などの目標実現には不十分と回答した。
日銀は14日の金融政策決定会合で、これまでの「物価安定の理解」に替えて「物価安定の目途(めど)」を導入。当面、消費者物価指数(CPI)の前年比上昇率で「1%」を目指し、それが見通せるようになるまで「強力に金融緩和を推進していく」と表明。同時に、資産買い入れ等基金を「55兆円」から「65兆円」に拡大し、増額分の10兆円は全て長期国債を対象とすることを全員一致で決定した。
JPモルガン証券の菅野雅明チーフエコノミストは「事実上のインフレ目標と10兆円の国債購入増額で、1%のインフレが視野に入る可能性は極めて小さい」と指摘する。白川方明総裁が「『目途』と『理解』という、その言葉の違いだけで、私ども自身の政策が変わるということではない」と述べたこともあり、日銀のデフレ克服の姿勢に対し、なお疑問を抱く向きもある。
2年以内の国債購入を増やしても
モルガン・スタンレーMUFG証券の佐藤健裕チーフエコノミストは「日銀は政治圧力をかわすために取りあえず動いているものの、本気でデフレ脱却を望んでいるのかは疑問だ」と指摘。「今回、『物価安定の理解』という判りにくい表現を『物価安定の目途』と言い換えたのも、米連邦準備制度理事会(FRB)のアクションを受けて、国内の政治家が日銀批判を強めたからだ」という。
日銀が買い入れ対象の長期国債を残存期間1−2年程度に限定していることへの批判もある。シティグループ証券の村嶋帰一チーフエコノミストは「既に国債利回りの水準は極めて低く、今回の措置による追加的な低下余地は限られている。買い入れ対象国債の年限を2年以下に限定していることを鑑みると、なおさらそうだろう」という。
佐藤氏も「2年物国債の金利はたかだか0.11%弱。これが日銀買い入れで下がったとしてもせいぜいあと0.01%が限度だ。0.01%の2年金利低下でデフレを脱却できるほど足元の日本経済を取り巻く状況は甘くない」と語る。
金融政策では困難か
今回、日銀はリスク資産などの買い入れを20兆円から30兆円に拡大したが、エコノミストの間では、いくら流動性を追加してもデフレ脱却は難しいとの見方が根強い。
SMBC日興証券の岩下真理チーフマーケットエコノミストは「包括緩和のスタートから1年4カ月も経過したが、CPIがプラスに転じたのは資源高の影響を受けた昨夏の3カ月間のみ。日銀の追加緩和による、物価押し上げの効果があるとは思えない」と語る。
菅野氏はデフレの原因は「将来への不安を背景とする消費の低迷と企業による海外投資シフトを背景とする国内の設備投資不足」であり、政策金利が0%、長期金利が1%割れと、市場には潤沢な流動性があふれている状況では、「金融政策だけでデフレ脱出することは困難」とみる。
一方、デフレ脱却の奥の手として外貨建て資産の購入を挙げる向きもある。佐藤氏は、日銀が財務省に代わって外貨の購入を行えば、介入資金を市場に放置する「非不胎化介入も可能であり、効果は大きい」と指摘。「物価低迷の主因である需給ギャップに働きかける効果も期待できる」という。
介入は財務省の権限
野村証券の松沢中チーフストラテジストも「海外債券の購入により円安を促進すれば、1%の達成は早まる可能性がある」とみる。しかし、第一生命経済研究所の熊野英生主席エコノミストは「1%を達成するためには外債購入が有効」としながらも、「政府の介入権限との関係で、日銀が外債購入を無制限に行うことはできないし、現実的な選択肢ではない」として、1%の達成は現実的に難しいとみる。
1%の物価上昇を実現するには、資産買い入れ等基金を100兆円か、それ以上に拡大させる必要があるとの声も出ている。農中総研の南武志主任研究員は「全体で100兆円程度まで拡大する必要がある」と指摘。三井住友アセットマネジメントの武藤弘明シニアエコノミストも「為替市場の参加者は結局そういう絶対額を見ている」という。
菅野氏は「国内の資金需要が低迷している現実を前提とすると、1%のインフレ目標へ早期に到達するために残された手段は『日銀による財政赤字ファイナンス』と『財政支出の増大』の組み合わせしかない」と指摘する。
財政ファイナンスに一歩近づく
2012年度予算案の新規国債発行額は約44兆円。今回の決定で日銀は年間約40兆円と、その大半の国債を買い入れることになる。菅野氏は「日銀の決定は、今後の新規発行国債のほぼ100%を日銀が購入し、しかもこの間財政赤字は増大するので、白川総裁は否定したが、日銀による財政赤字ファイナンスに一歩踏み込んだ政策と位置づけることが可能だ」という。
菅野氏はその上で「この政策により1%のインフレ率を達成できた場合、問題は出口政策だ」という。「インフレ率が2%となることが視野に入った段階で、日銀が金融引き締め、すなわち国債購入を減額する、あるいは止めることができるだろうか。歴史を振り返ると、こうした政策は政治的な理由から選択できない可能性が高い」と指摘。この点に関する「国民的議論が必要だ」としている。
2月16日(ブルームバーグ):自動車販売台数で2011年に世界首位に返り咲いた米ゼネラル・モーターズ(GM)の同年通期決算は、利益が91億9000万ドル(約7240億円)と、103年の歴史の中での最高を記録した。ただ、欧州部門は赤字だった。
16日の同社発表によると、昨年10−12月(第4四半期)利益は1株当たり39セントと、前年同期を25%下回った。ブルームバーグがまとめたアナリスト17人の予想平均は41セントだった。株主帰属純利益は前年同期比48%減の7億2500万ドルで、2年ぶり低水準となった。
GMの北米部門の利払い・税引き前利益(EBIT)は通年で71億9000万ドルと、前年の3倍余りに増えた。米国での販売好調が寄与した。一方、オペルを含む欧州部門は7億4700万ドルの赤字。前年の17億6000万ドルから赤字幅は縮小したものの、11月時点まで収支トントンを目指していたGMの見積もりには一致しなかった。
2月16日(ブルームバーグ):ドイツのフォルクスワーゲン(VW)やフランスのプジョーシトロエングループ(PSA)など、欧州の大手自動車メーカーは欧州中央銀行(ECB)が金融業界支援を目指して提供している低金利融資の活用を検討している。
仏ルノーもECBの期間3年物資金供給オペ(LTRO)を利用する可能性があると示唆した。自動車メーカーの金融子会社は銀行業の免許を得ており、LTROの対象となっている。ECBが昨年12月に実施したオペを通じて、市中銀行523行は4890億ユーロ(約50兆2670億円)の3年物融資を1%の金利で獲得した。
フォルクスワーゲン・バンクもLTRO活用を検討していると、同行の証券化部門責任者、ステファン・ロルフ氏が16日のインタビューで述べた。プジョーのジャンバプティスト・ドシャティヨン最高財務責任者(CFO)は15日、傘下のバンクPSAファイナンスがECBと資金借り入れについて協議しているほか、10億ユーロ余りの担保を差し出していると述べた。
ルノーのカルロス・ゴーン最高経営責任者(CEO)は、「コストの低い」資金なら何でも検討に値すると述べたものの、ルノーは資金を必要していないと強調した。
モルガン・スタンレーのアナリスト、ヒュー・ファンステーニス氏は「自動車業界は経済に信用を提供する重要な存在であり、ECBは必要とされる分野に信用が行き渡ることを望んでいる」と述べ、「自動車メーカーへの融資がこうしたプロセスに役立つならば、ECBとしては良好な資金活用だと判断するだろう」と分析した。
[東京 14日 ロイター] 日銀が14日の金融政策決定会合で決めた資産買い入れ枠増額と物価政策の表現変更について、金融市場からは、2つの政策をセットにしたサプライズとして評価する声がある一方、物価をめぐる表現変更は単なる「言葉遊び」に過ぎず、デフレ脱却に向けた実行への不信感も根強い。
市場心理を制御する米連邦準備理事会(FRB)流の情報発信力に比べて見劣りするとの見方もある。金融マーケットにとって今回の決定が単なるサプライズで終わるのか、あるいはその効果が持続して円高是正などにつなげていけるのか、日銀の実行力とコミュニケーション力が問われている。
<日銀の緩和姿勢は本命チョコか、義理チョコか>
日銀は物価目標について、これまでの「物価の安定が展望できる情勢になったと判断するまで実質ゼロ金利政策を継続していく」といった受動的な表現を改めて、「消費者物価の前年比上昇率1%を目指して、それが見通せるようになるまで実質的なゼロ金利政策と金融資産の買い入れ等の措置により、強力に金融緩和を推進していく」と、能動的な表現に変更した。さらに、資産買入れ枠を10兆円増額する追加緩和措置も実施した。
折しも今日はバレンタインデー。「今日の日銀の決定が、真剣な緩和姿勢を示す本命チョコなのか、あるいは義理チョコなのか見極める必要がある」(第一生命経済研究所・主席エコノミスト・熊野英生氏)との声もある。
日銀の姿勢が本当に変化したとの受け止め方もある。伊藤忠経済研究所・主任研究員の丸山義正氏は「物価安定の理解から目処への文言変更は政治サイドからの批判に対応したものに過ぎないかも知れないが、日本銀行として物価上昇率1%のゴールを示した。他の中央銀行の動きや政治的圧力が影響したかどうかは大きな問題ではなく、欲しいのは決断であり結果だ」と評価。「目処」を真剣に目指して金融政策運営が継続すれば、日本国民の期待インフレ率にも働き掛けていくことが期待できるとみている。
しかしこうした声はどちらかというと少数派。日銀ウォッチャーの間では、日銀の政策は政治的圧力に応じた「義理チョコ」だったとの見方が大勢だ。
日銀のコミットメントに対する実行力への不信感は、これまでの緩和姿勢への実施状況から生まれている面もありそうだ。資産買入れ枠というファンドを設定し、都合次第でその規模を次々と増額するという便利なツールを作ってはみたものの、肝心の買入れ額はさほど膨らんでいないと指摘する声もある。「これまでの長期国債買い入れ枠の9兆円も、実際の買入れ額は3兆円規模にとどまっており、今日の決定会合で枠を新たに10兆円増額しても、実際に満額買い入れるとは思えない」(クレディスイス証券チーフエコノミスト・白川浩道氏)というわけだ。同氏は買入れ基金はいわば「見せかけ」の量的緩和だと揶揄する。<FRBの時間軸政策に見劣り>
政治家サイドからの注文が相次いでいた物価目標の明確化にも、日銀は短期間で柔軟に対応した。しかし、こちらについても、市場関係者の間では評価の声ばかりではない。
野村証券金融経済研究所チーフエコノミストの木内英登氏は「日銀に求められているのは、インフレ目標に関わる『言葉の遊び』ではなく、日銀がデフレ克服や円高阻止に向けて本気で積極策に打ち出すべき、というまさに姿勢にある」と指摘。
これまでの「物価安定の理解」というわかりにく表現を多少わかりやすく修正しただけで、金融政策の運用自体が変わるわけではない、との見方から、金融市場でも踏み込み不足との反応が出ている。
FRBが1月25日に打ち出した時間軸の長期化が市場にインパクトを与えたことと比較すると、日銀のコミュニケーション政策の効果は限定的との見方が少なくない。
木内氏は、「FRBは政策金利と景気見通しを同時に発表しており、金融政策で経済状況を誘導するという能動的な発想があるのに対して、日銀はインフレ率が上昇するまで現在の緩和姿勢を続けるという受動的な姿勢である点が大きな違い」だとみている。
FRBとの違いについては学者からの厳しい指摘もある。東京大学大学院の柳川範之准教授は、日銀とFRBでは情報の発信の仕方に違いがあり、金融市場をリードしていくような印象を与えるか、逆に動かされているような印象を与えるかで差が出るという。物価目標や時間軸などの中央銀行からの政策コミットメントから市場が受ける「納得感」がなければ、いくらサプライズな政策を実施しようとも効果は長続きしないとする。
今回示した1%の物価上昇率というゴールの達成は、今後の景気動向と日銀の取り組み次第とも言えそうだ。エコノミストの見通し(フォーキャスト調査)では、日銀が今回明確化した消費者物価(CPI)1%の目途はまだ遠い。プラスに浮上するのは13年度、上昇率はわずか0.10%だ。それでも今回の決定が真剣な緩和姿勢の第一歩と受け止められれれば、物価上昇も早まるとの期待感も浮上している。
(ロイターニュース 中川泉;編集 橋本浩)
[東京 14日 ロイター] 日銀が14日の金融政策決定会合で決めた資産買い入れ枠増額と物価政策の表現変更について、金融市場からは、2つの政策をセットにしたサプライズとして評価する声がある一方、物価をめぐる表現変更は単なる「言葉遊び」に過ぎず、デフレ脱却に向けた実行への不信感も根強い。
市場心理を制御する米連邦準備理事会(FRB)流の情報発信力に比べて見劣りするとの見方もある。金融マーケットにとって今回の決定が単なるサプライズで終わるのか、あるいはその効果が持続して円高是正などにつなげていけるのか、日銀の実行力とコミュニケーション力が問われている。
<日銀の緩和姿勢は本命チョコか、義理チョコか>
日銀は物価目標について、これまでの「物価の安定が展望できる情勢になったと判断するまで実質ゼロ金利政策を継続していく」といった受動的な表現を改めて、「消費者物価の前年比上昇率1%を目指して、それが見通せるようになるまで実質的なゼロ金利政策と金融資産の買い入れ等の措置により、強力に金融緩和を推進していく」と、能動的な表現に変更した。さらに、資産買入れ枠を10兆円増額する追加緩和措置も実施した。
折しも今日はバレンタインデー。「今日の日銀の決定が、真剣な緩和姿勢を示す本命チョコなのか、あるいは義理チョコなのか見極める必要がある」(第一生命経済研究所・主席エコノミスト・熊野英生氏)との声もある。
日銀の姿勢が本当に変化したとの受け止め方もある。伊藤忠経済研究所・主任研究員の丸山義正氏は「物価安定の理解から目処への文言変更は政治サイドからの批判に対応したものに過ぎないかも知れないが、日本銀行として物価上昇率1%のゴールを示した。他の中央銀行の動きや政治的圧力が影響したかどうかは大きな問題ではなく、欲しいのは決断であり結果だ」と評価。「目処」を真剣に目指して金融政策運営が継続すれば、日本国民の期待インフレ率にも働き掛けていくことが期待できるとみている。
しかしこうした声はどちらかというと少数派。日銀ウォッチャーの間では、日銀の政策は政治的圧力に応じた「義理チョコ」だったとの見方が大勢だ。
日銀のコミットメントに対する実行力への不信感は、これまでの緩和姿勢への実施状況から生まれている面もありそうだ。資産買入れ枠というファンドを設定し、都合次第でその規模を次々と増額するという便利なツールを作ってはみたものの、肝心の買入れ額はさほど膨らんでいないと指摘する声もある。「これまでの長期国債買い入れ枠の9兆円も、実際の買入れ額は3兆円規模にとどまっており、今日の決定会合で枠を新たに10兆円増額しても、実際に満額買い入れるとは思えない」(クレディスイス証券チーフエコノミスト・白川浩道氏)というわけだ。同氏は買入れ基金はいわば「見せかけ」の量的緩和だと揶揄する。<FRBの時間軸政策に見劣り>
政治家サイドからの注文が相次いでいた物価目標の明確化にも、日銀は短期間で柔軟に対応した。しかし、こちらについても、市場関係者の間では評価の声ばかりではない。
野村証券金融経済研究所チーフエコノミストの木内英登氏は「日銀に求められているのは、インフレ目標に関わる『言葉の遊び』ではなく、日銀がデフレ克服や円高阻止に向けて本気で積極策に打ち出すべき、というまさに姿勢にある」と指摘。
これまでの「物価安定の理解」というわかりにく表現を多少わかりやすく修正しただけで、金融政策の運用自体が変わるわけではない、との見方から、金融市場でも踏み込み不足との反応が出ている。
FRBが1月25日に打ち出した時間軸の長期化が市場にインパクトを与えたことと比較すると、日銀のコミュニケーション政策の効果は限定的との見方が少なくない。
木内氏は、「FRBは政策金利と景気見通しを同時に発表しており、金融政策で経済状況を誘導するという能動的な発想があるのに対して、日銀はインフレ率が上昇するまで現在の緩和姿勢を続けるという受動的な姿勢である点が大きな違い」だとみている。
FRBとの違いについては学者からの厳しい指摘もある。東京大学大学院の柳川範之准教授は、日銀とFRBでは情報の発信の仕方に違いがあり、金融市場をリードしていくような印象を与えるか、逆に動かされているような印象を与えるかで差が出るという。物価目標や時間軸などの中央銀行からの政策コミットメントから市場が受ける「納得感」がなければ、いくらサプライズな政策を実施しようとも効果は長続きしないとする。
今回示した1%の物価上昇率というゴールの達成は、今後の景気動向と日銀の取り組み次第とも言えそうだ。エコノミストの見通し(フォーキャスト調査)では、日銀が今回明確化した消費者物価(CPI)1%の目途はまだ遠い。プラスに浮上するのは13年度、上昇率はわずか0.10%だ。それでも今回の決定が真剣な緩和姿勢の第一歩と受け止められれれば、物価上昇も早まるとの期待感も浮上している。
(ロイターニュース 中川泉;編集 橋本浩)
[ワシントン 16日 ロイター] 米労働省が発表した1月の卸売物価指数(PPI)統計は、食品・エネルギーを除くコア指数が前月比0.4%上昇し、昨年7月以来半年ぶりの大幅な伸びとなった。
市場予想は0.2%上昇。12月は0.3%上昇していた。
前年比では3.0%上昇。12月は前年比で2.7%上昇となっていた。
総合指数は前月比0.1%上昇と、前月からプラスに転じた。ただ、0.4%上昇を見込んでいた市場予想よりは小幅な伸びにとどまった。
前年比では4.1%上昇。12月の4.8%上昇から伸びは鈍化し、1年ぶりの小幅な伸び率となった。
内訳では、処方せん薬の上昇が目立ち、1月の上昇分の約40%を占めた。
一方、乗用車は0.8%低下し、前月からマイナスに転じた。
ウィリアムズ・キャピタル・グループの債券販売・取引主任のデイビッド・コアード氏は「米景気をめぐり楽観視しているが、成長が近くインフレを誘発するほど堅調になることは予想していない」と述べた。
[ワシントン 16日 ロイター] 米労働省が16日発表した2月11日までの週の新規失業保険週間申請件数(季節調整済み)は34万8000件と、前週の36万1000件(改定値)から1万3000件減少し、2008年3月以来およそ4年ぶりの低水準となった。労働市場の回復が勢いを増していることが示された。
アナリストは36万5000件への増加を見込んでいた。
労働市場の傾向をより正確に示すとされる4週間移動平均は、前週比1750件減の36万5250件と、2008年4月以来の低水準に改善した。
スタイフェル・ニコラウス(ニュージャージー)のマーケットストラテジスト、ケビン・キャロン氏は「雇用市場が改善していることは重要だ。この傾向は始まったばかりだが、景気改善を示す統計が続いていることは好ましい」と話した。
日本銀行が、事実上の「インフレ目標」導入に踏み切った。物価が下がり続ける「デフレ」から抜け出すまで金融緩和を続けるという宣言だ。果たして、物価や景気を押し上げることができるか。
14日昼過ぎ、大手銀行などのディーリングルームには驚きが広がった。日銀が物価目標と追加の金融緩和を打ち出したからだ。担当者は「想定外、かなりのサプライズ(驚き)」。
そのころ野田政権には満足感が漂っていた。「日銀には説明責任を果たし、透明性を向上してもらいたいと申し上げてきた。そうしたことも考えた結果ではないか」。古川元久経済財政相は14日夕にこう語った。
米連邦準備制度理事会(FRB)が1月に事実上のインフレ目標を導入し、一時、日本の輸出産業を苦しめる円高が進んだ。政府内や与野党から日銀への圧力は一気に強まった。「日銀の物価の目安は分かりにくい」「米国のようにできないのか」。日銀の白川方明(まさあき)総裁は国会で連日のように突き上げられた。
野田政権は消費増税を最優先に掲げている。だが、増税は消費を冷やすおそれもあり、物価が下がり続ける「デフレ」の脱却が欠かせない。こうした条件を求める与野党の声にも応える必要があった。
白川総裁は14日の記者会見で「政治的な圧力に屈して日銀が本来考えていないことをすることは全くない」と強調した。そう言うものの、日銀には物価目標を明確にしても効果があるかは不明だとして、慎重論が根強かった。最終的には政治の「圧力」が日銀の背中を押したとみられる。
政府内では「デフレ脱却に向けた積極的な措置だ」(安住淳財務相)などと歓迎の声が広がった。さらに、民主党内では「『物価安定のめど』ではまだあいまい。10兆円程度の資金供給も踏み込みが足りない」との声も出始めている。
民主党は近く政策調査会に円高対策を話し合う場をつくり、追加金融緩和の必要性なども議論する。同党の円高・欧州危機等対応研究会では「インフレ目標2%に向けた資金供給」との考え方も出ており、来週にも日銀に追加措置を求める中間提言をまとめる構えだ。日銀への圧力はやみそうにない。
■「3月危機」に備え
圧力だけではない。欧州の政府債務(借金)問題でささやかれる「3月危機」への備えもある。
欧州では3月、ギリシャが大量の国債の返済期限を迎える。欧州連合(EU)などの支援を受けて返済資金を確保できるのか。金融市場は緊迫している。もし返済がうまくいかなければ、国債を抱えている欧州の金融機関の経営が悪化し、金融危機が広がる。
日本では年度末を迎える。1ドル=70円台後半で定着した「超円高」が日本経済を支える輸出産業を苦しめている。
2012年3月期の第3四半期決算では、パナソニックやソニー、マツダなど電機、自動車の大手企業が大幅な赤字になり、工場閉鎖などのリストラも相次いだ。通期でも赤字が膨らみ、景気を腰折れさせかねない。
「早めに動いて日銀の『本気度』を示すべきだ」。危機感を強めた日銀幹部らは週末返上で政策を練り、一気に「インフレ目標」と追加緩和に踏み切った。白川総裁は「(物価安定の)めどを示す言葉と合わせて、政策的な行動を取った方が金融緩和効果があると判断した」と語った。
金融緩和の流れは世界に広がっている。昨年末には欧州中央銀行(ECB)が大量に資金を市場に流し込んだ。米国も「インフレ目標」導入に続き、資金を大量に流し込む「量的緩和」第3弾を示唆している。
08年のリーマン・ショック後の世界不況では財政出動で景気を立て直そうとした。その結果、どの国も借金が膨らみ、新たな財政出動は難しく、中央銀行の金融政策に頼らざるを得なくなった。金融緩和だけで景気を押し上げられるかどうか。日本を含めて世界経済は政策の選択肢を失いつつある。(橋本幸雄、吉川啓一郎)
[東京 14日 ロイター] 日銀は13─14日に開いた金融政策決定会合で、資産買い入れ基金の増額による追加緩和策を決定した。国債など金融資産の購入原資となる基金の規模を従来の55兆円から65兆円に10兆円引き上げた。
市場関係者のコメントは以下の通り。
●インフレターゲット的なニュアンス含む
<みずほインベスターズ証券 チーフマーケットエコノミスト 落合昂二氏>
為替、株式相場ともに比較的安定していたため、追加の緩和を急ぐタイミングではなかったとみていただけに、今回の緩和はサプライズだった。
望ましい物価水準について、「中長期的な物価安定の理解」を「中長期的な物価安定の目途」に切り替えたことも、事前に観測はあったが、この点も驚きを持って受け止めている。
声明文を見ると、書き方にかなりインフレターゲット的なニュアンスが含まれている。金融政策において、目指す物価上昇率を明確にした文言がある。日銀の金融政策は、物価にある程度能動的に働きかけることを強く入れている印象だ。今までになかった表現だ。
円債市場のセンチメントは買い戻しムードとなり、しばらく強いのではないか。●介入準備として適切なタイミングでの実施
<野村証券 金融市場調査部 チーフ為替ストラテジスト 池田雄之輔氏>
きょう決定された日銀の追加緩和は、ドル買い介入を打ち出す準備として適切なタイミングで実施されたとみている。ギリシャをめぐっては、依然としてダウンサイドリスクがくすぶり、今後もギリシャ問題をきっかけに欧米の株価が下落し、米国で量的緩和第3弾(QE3)の期待が高まる可能性があるとみている。その際はドル/円でも下値リスクが高まるだろう。
円が最高値を臨む場面まで待たずに、このタイミングで定例会合で前倒しに追加緩和を打ち出したことは、介入への準備的なステップとして評価できる。
●残念な判断、無秩序に際限なく緩和進む印象
<SMBC日興証券 チーフマーケットエコノミスト 岩下真理氏>
物価安定の「目途」との表現に変更したり「当面は1%を目途」と数字を明示したことは、短期間で柔軟に対応したことについて評価するが、10兆円の資産買入れ増額は評価できない。まず、景気認識も変えず、金融市場の緊張も幾分和らいでいるとしていることと関係なく緩和してしまった。さらに、これから期末も控え、米金融政策の先行きの展開についても緩和余地があるこのタイミングで追加緩和してしまった。さらに、政治の圧力がここ1週間強まっていこともあり、圧力に屈したという印象になってしまった。結局は、金融政策は今後も際限なく進んで行くという印象を与えてしまい、残念だ。
今後へのカードとしては、買い入れ期間の延長や長期国債買い入れ残存期間を延ばすといった方法を残しており、これで終わりではないだろう。
●追加緩和はサプライズ、望ましい物価水準をより明確化
<三菱UFJモルガン・スタンレー証券 シニア債券ストラテジスト 長谷川治美氏>
日銀の追加緩和策決定は、事前に観測はあったが、円債マーケットにサプライズだった。基金の買い入れを長期国債のみを対象に10兆円増額することになった。前日に発表した2011年10─12月期国内総生産(GDP)が2四半期ぶりのマイナス成長となったほか、1月下旬の米連邦準備理事会(FRB)の時間軸の長期化以降、外為市場における円高進行に対する政府サイドの懸念が強い中、日銀としては何もしないという選択肢はなかった。
基金の増額と同時に「中長期的な物価安定の理解」を「中長期的な物価安定のめど」と変えた。これまで日銀は望ましい物価上昇率について、「2%以下のプラスで、中心は1%程度」としていたが、「当面は1%めど」と、「インフレ目標」に近いかたちで従来より明確にした。
ただ、今のところ日銀からは、長期国債の買い入れる対象年限を延ばすとの発表がないので、今まで通り1年程度にとどまるのであれば、国債イールドカーブへの影響は限られるのではないか。
●円安通じ日本株の押し上げ要因に
<マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木隆氏>
日銀による金融資産買い入れ基金の増額はポジティブサプライズだ。ほとんどの投資家が金融政策の据え置きをイメージしてただけに、追加緩和がマーケットに与えるインパクトは大きい。今回は長期国債のみの買い入れ枠引き上げであり、日本株への直接的な影響はわからないが、為替市場で円安に振れたことが企業業績の改善期待につながり日本株を押し上げている。日経平均が昨年8月以来となる200日移動平均線(9055円06銭=13日)突破を果たせば、長期的なトレンド転換が期待される。●米金利の上昇伴わないドル高は長続きしない可能性
<IGマーケッツ証券 為替担当アナリスト 石川順一氏>
日銀の金融緩和はサプライズだったが、輸出企業の想定為替レートは78円絡みで設定されているほか、きょうのオーダー状況も77円後半にはオファーが並んでおり、多くの投資家は絶好の売り場として構える可能性がある。今後のドル/円の動きについては、米国は超低金利政策の長期化をコミットメントしており、米金利の上昇を伴わないドル/円の上昇は長続きしないだろう。ドル/円相場と相関性の高い米2年債利回りは0.30%に達していない。仮に78円台に到達しても、そこですぐに売りを仕掛けられて反落するのではないか。
●緩和の基準あいまい、政治からの圧力か
<明治安田生命 チーフエコノミスト 小玉祐一氏>
このタイミングでの日銀の追加緩和には意外感がある。ファンダメンタルズが比較的安定しており、円高圧力も以前よりは緩和に向かっている情勢下で、何を基準に日銀が追加緩和を決定したのかがマーケットには分かりづらい。
米国が時間軸強化策と長期的な物価のゴールを打ち出す中で、日銀の物価安定が分かりづらいとの声もある。デフレは円高が一番の要因、つまり円高デフレとの認識も政府内にあるようだ。おそらく、政治からのプレッシャーが強かったのだろうが、結果として政治からの圧力に弱い日銀という印象を与えかねない。
ただ、追加緩和の10兆円という規模は、一部の市場予想を上回る規模で、為替相場も多少反応している。一定程度、円安方向に相場を動かす力にはなるが、反応は長続きしないだろう。追加的な金利押し下げ余地が限られており、日銀は工夫はしているが、打つ手は乏しくなっている。規模は大きいが、買い入れ資産は国債ということで中身的には驚きはない。国債を買い増すにしても、より残存期間の長い国債を買えば、より中期ゾーンまでの押し下げ効果が期待できるために、為替への効果があるのではないか。
●追い詰められた措置、遅きに失し効果小さい
<クレディスイス証券 チーフエコノミスト 白川浩道氏>
このタイミングで10兆円の基金増額を実施したのは、よほど追い詰められたのだろう。デフレ対応と、財政悪化に対する一種のマネタイゼーション、そして円高対応だろう。しかし、これまで円高を放置しておいて空洞化に拍車がかかってしまった段階でいくら緩和を実施しても、遅きに失している。政治家サイドにしてみれば、もはや地方の雇用がもたない状況になっている。政治の圧力が高まるのも当然だ。
基金を10兆円増額しても、実際に全て買い入れるかというと、これまでの資産買い入れの進ちょく状況や緩和姿勢からみて、はなはだ疑問だ。しかも、今回は買い入れ対象の残存年限を延長せず、引き続き基金での買い入れにとどめているところから、本当の意味での量的緩和とは言えないのではないか。本当の緩和についてやる気があるなら、今後、輪番オペで長いレンジの長期国債を買い入れ、しかも銀行券ルールを外すだろう。おそらく残された手段が少ない中で、今年中にそうした措置に踏み切らざるを得ないだろう。
●ポジティブだがインパクトは続かず
<ソシエテ・ジェネラル証券 グローバル・エクイティ部長 久保昌弘氏>
日銀の追加緩和策決定で円安に振れ、日経平均もプラス圏に切り返した。イングランド銀行(英中央銀行)が資産買い入れプログラムの規模を拡大したことや、欧州中銀(ECB)の3年物長期資金供給オペ(LTRO)の実施などを考慮すると、日銀も追加緩和に踏み切るとみていた。長期国債の買い入れ枠増加を5兆円と予想していたので、10兆円はポジティブサプライズと言える。消費者物価指数1%目標の明確化は、米連邦公開市場委員会(FOMC)と同様の政策で予想の範囲と思われる。規模は大きいが、買い入れ資産は国債ということで中身的には驚きはない。国債を買い増すにしても、より残存期間の長い国債を買えば、より中期ゾーンまでの押し下げ効果が期待できるために、為替への効果があるのではないか。
●追い詰められた措置、遅きに失し効果小さい
<クレディスイス証券 チーフエコノミスト 白川浩道氏>
このタイミングで10兆円の基金増額を実施したのは、よほど追い詰められたのだろう。デフレ対応と、財政悪化に対する一種のマネタイゼーション、そして円高対応だろう。しかし、これまで円高を放置しておいて空洞化に拍車がかかってしまった段階でいくら緩和を実施しても、遅きに失している。政治家サイドにしてみれば、もはや地方の雇用がもたない状況になっている。政治の圧力が高まるのも当然だ。
基金を10兆円増額しても、実際に全て買い入れるかというと、これまでの資産買い入れの進ちょく状況や緩和姿勢からみて、はなはだ疑問だ。しかも、今回は買い入れ対象の残存年限を延長せず、引き続き基金での買い入れにとどめているところから、本当の意味での量的緩和とは言えないのではないか。本当の緩和についてやる気があるなら、今後、輪番オペで長いレンジの長期国債を買い入れ、しかも銀行券ルールを外すだろう。おそらく残された手段が少ない中で、今年中にそうした措置に踏み切らざるを得ないだろう。
●ポジティブだがインパクトは続かず
<ソシエテ・ジェネラル証券 グローバル・エクイティ部長 久保昌弘氏>
日銀の追加緩和策決定で円安に振れ、日経平均もプラス圏に切り返した。イングランド銀行(英中央銀行)が資産買い入れプログラムの規模を拡大したことや、欧州中銀(ECB)の3年物長期資金供給オペ(LTRO)の実施などを考慮すると、日銀も追加緩和に踏み切るとみていた。長期国債の買い入れ枠増加を5兆円と予想していたので、10兆円はポジティブサプライズと言える。消費者物価指数1%目標の明確化は、米連邦公開市場委員会(FOMC)と同様の政策で予想の範囲と思われる。
クレディスイス証券 チーフエコノミスト 白川浩道氏の見方が一番まともである。
日銀のいかさま極まれりって感じで、ほとんど発言内容について信じられないな、今度のインフレ目途なんて、長期国債の購入額が40兆円だとか言った処で、その中身が問題。
償還期限が一年未満の長期国債を購入したところで、短期国債と長期国債の代替性を前提のものとにしているのだから、市場は安心して長期国債を買う動機にはならないだろう。銀行券の発行を長期国債残高以下に抑えるルールを取り払い、コア消費者物価指数を目標にし、国会でな納得のいく説明をするべしだ。その際、構造変換など議論の対象にしないことだな、日銀は。構造変換は政府側がすることである。また外需の取り込みも述べてはならない、責任転換も甚だしいからである。マクロの経済は、インフレ、デフレ、為替レート、失業率など「循環的」経済について日銀総裁は述べるべきである。米国でも循環的不況を構造的不況にすり替える者たちが多いが、認識を間違えないようにするべきである。
また、白川総裁は、民間企業の頑張り、海外の需要の取り込み、またデフレ圧力解消を民間企業、また政府の産業政策に求めているようだが、政界中の中央銀行で政策当局としてのセリフでこんなバカなこと言うものはごく少数であるだろう。物価が日銀だけの責任ではないなんて、標準的なマクロ経済学を知らないもののいうことである。
上場企業でさえことに電気業界の収益悪化が甚だしいのに、企業のが頑張っていないなどとぬかす中央銀行総裁など首にした方がいい。外的ショック以外のコアな物価は中央銀行の責任である。説明責任からののがれるな日銀。政府もイギリスを見習って、納得のいく説明責任を求めろ。それがいやなら中央銀行ではなく、中央造幣局とでもしろ!!!
【アテネ=末続哲也】ギリシャは13日、ユーロ圏などから第2次支援を受ける前提条件だった財政緊縮策を議会承認し、「突然の債務不履行(デフォルト)」回避へ前進した。
だが、国民には政府・与党不信が強まり、「緊縮策よりデフォルトやユーロ圏離脱が望ましい」との主張が勢いを増している。抗議活動の激化にもつながりそうだ。
「月給は2年前の約1200ユーロ(約12万円)から約700ユーロに減り、今回の緊縮策で22%減る。増税で物価は上がった。こんな政策なら、デフォルトやユーロ圏離脱の方がましよ」。12日の国会議事堂前の抗議デモ。女性会社員グバル・ミルトさん(32)の訴えに、周囲の参加者が賛同した。
デモに加わったヨット製造会社社長コスタス・ゴルフィノプロスさん(45)も「デフォルトは不可避だ。ユーロ圏を離れ、独自通貨に戻って物価などを調整した方が、長期的にはプラスになる」と主張した。
(2012年2月13日22時29分 読売新聞)
その方が断然いい対応策だし、2年ほどで、経済成長は回復できるだろう。デフォルトしたアルゼンチンも変動相場制に戻し、通貨の暴落でかなりの痛みを伴ったが大きく経済成長した。ユーロからの離脱が望ましい。
消費税増税国会がはじまった。民主党マニフェストに書いていなかった消費税増税は、2014年4月に8%、15年10月に10%に引き上げるというスケジュールが決まっているが、消費税を充てるという社会保障制度にマニフェストで書かれていた最低保障年金は盛り込まれていない。
この点だけでも消費税増税は失格政策だが、このコラムの読者なら他にも、欧州危機が現実化する中での増税、歳入庁がないことによる税・保険料の不公平、消費税の社会保障目的税化の社会保障費増大への懸念や地方分権への支障などいろいろな観点からの問題点があることをご存じだろう(昨年12月19日「その前に財務省が嫌がる歳入庁の設立を。租税論、経済政策論、地方分権…消費税の社会保障目的税化は世界でも類例がない愚策だ」http://gendai.ismedia.jp/articles/-/30515を参照)。
そうした本質的な問題点をそらすために、わかりやすい三点削減セット(定数、国会議員歳費、政党交付金)や公務員給与カットなどを消費税増税とバーターにする動きがある。法案は国会で議論されるが、その審議順番などは「国対」がカギにある。国対関係者はどちらかというと政策に疎いので、わかりやすい話が取り上げられて動きかちだ。
政治改革三点セットや公務員給与問題は、本来であれば、消費税増税とは無関係に進められるべきものだ。そんなものでお茶を濁されては国民はたまったものでない。
消費税増税の最大の問題は、経済との関係だ。もし増税して景気がよくなるなら、いくらでも税率100%まで増税すればいい。
はっきりいえば、消費税増税の大義名分は財政再建だけだ。社会保障に充てると言いながら、野田政権の意見がコロコロ変わるように、カネに色がついていない以上、そうした説明は意味がない。昨年12月26日の本コラム「財務省とのなれ合いで自民党政権時代よりも10兆円以上歳出が増えた民主党政権。大増税に導く2012年度予算はこんなにデタラメだ」http://gendai.ismedia.jp/articles/-/31237で明らかにしたように、民主党政権になって予算規模が膨らんだために、その穴埋めで今回の消費税増税が行われるにすぎない。
ただし、財政再建の大義も、景気が悪くなっては元も子もない。財務省は、1997年4月から消費税増税をしたが、その直後にアジア危機があり、一般会計税収は1997年度の53.9兆円からその後はそれを下回っている(2012年度予算は42.3兆円)。
財務省は、その後の景気の落ち込みはアジア危機のためで消費税ではないという。その説明は苦しい。アジア危機の震源地である韓国は、たしかに危機時は景気が落ち込んだが、少し経つと回復している、一方、日本は回復していない。
すべてをアジア危機のせいにはできないのだ。
それに、このエピソードは今回の増税に対する不安をかき立てる。今、欧州危機はほとんど確実視され、すぐそこにある危機だ。こうしたときに増税すれば、その後の景気回復が悪くても、欧州危機のせいだと言い張れる。増税財務省にとってはまたとない増税の好機になる。こうした悪い予感は得てしてあたるものだ。
消費税増税は、今のような経済状況況では財政再建に不適切である。本来は税・保険料の不公平を是正するのが簡単な方法だ。五十嵐文彦財務省副大臣は、間に合わないとかいったらしいが、2年半前の民主党のマニフェストに書いてある。1999年のイギリスの歳入庁創設の例でも、2年もあればだいたいできるのに、何をいっているのか。
もっと簡単なのは、今のデフレからマイルドインフレにすることだ。
財務省は、欧州危機にならないように増税というが、まったく欧州危機の本質がわかっていない。ギリシャはすでに消費税23%である。消費税を高くすればいいというものでない。ギリシャは2年に1回破綻する破綻常習国だ。これまで、ドラクマという独自通貨を持っていて、破綻のたびに通貨調整してきた。
ところが、ユーロに加盟してドラクマの調整がなくなったとたんに、ギリシャのリスクを欧州の金融機関が忘れた。そこで、予想通りギリシャが破綻して欧州の金融機関がパニクっているのだ。ちなみに、もしギリシャがユーロで加盟していなければ、ドラクマの調整となったはずだし、ユーロ加盟前にはギリシャの破綻は欧州では些細な問題だった。
だから、欧州危機の教訓は、独自通貨の威力がいかに大きく、それを活用しないと、本当に危機になるということだ。財務省がマスコミにレクしているような欧州危機から財政再建を言うのは間違いで、独自の通貨を失うと自国経済のみならず世界経済まで危なくなると言うことだ。
通貨の政策といっても、大元は金融政策である、金融政策のやりかたによって、為替も国内景気も左右できる。その点から、歴史的な政策転換になったのが、先週25日(日本時間では26日)にFRB(連邦準備制度)が発表した「インフレ目標2%」だ。「インフレ目標」は、先進国で採用していないのは日本と米国だけといわれていたが、これで日本だけになった。
日本では、スウェーデンの社会保障での高負担・高福祉を例にして高負担でも高い成長が可能のように言われるが、スウェーデンはインフレ目標をうまくやっている国としても有名だ。高い経済成長を支えているのはインフレ目標だ(「新聞が書かない『経済成長がなければ増税しても税収は増えない』という基本的事実『インフレ嫌い』の与謝野大臣には不都合な真実」http://gendai.ismedia.jp/articles/-/2043を参照)。しかし、マスコミはこれを知らない。
このFRBの政策転換について、新聞各紙の社説が面白かった。まともにきちんと報道しているのは「インフレ目標 日本も導入に決断を」とする東京新聞だ。「FRBは米経済を支える不断の努力を」という日経新聞はこれまで日銀を守り「インフレ目標」に消極的だったために、ちょっと腰が引けている。「米ゼロ金利延長 危機の種まかぬように」という毎日新聞や「米ゼロ金利継続 景気低迷に警戒強めたFRB」との読売は、日銀からレクの影響が色濃く出ている。
日銀は正式ではないが、「日銀は『事実上インフレ目標』をやっている。FRBは日銀の後を追って『事実上インフレ目標』をやった。これは国内の一部の人がいう『インフレ目標』ではない」というわけのわからないことをいっているようだ。
こうした時、日銀官僚が得意なのは言葉のすり替えだ。日銀関係者のいう「インフレ目標」とは実際のインフレ値が目標と違ったらすぐ政策変更せよとかいうらしいが、バーナンキFRB議長からプリンストン時代に直接薫陶を受けた私はそんな「インフレ目標」なんて言ったことがない。日本では私がプリンストン大から帰国してからインフレ目標を日本に広めた(「インフレ目標政策への批判に答える」http://www.rieti.go.jp/jp/special/policy_discussion/07.htmlのだから、どうも日銀関係者のいう話はあてにならない。
日銀のいう「事実上インフレ目標」は、消費税物価上昇率対前年比で0~2%と政策委員が「理解」しているだけで、とても「目標」といえるものでない。なにより、結果において、日銀は世界の中央銀行の中で最劣等生である。
1998年4月の新日銀法施行以来、日米でインフレ率がどうなっているかをみると、日本で0~2%におさまっていたのは1割6分、米国で1~3%におさまっていたのが7割3分。先進国では6割以上が求められるので、日銀は明らかに落第だ。しかも、0%以下のデフレの確率は8割2分。これでは「日銀のデフレターゲット」と言われるのは仕方ない。
これでも、日銀はこれまで「ジャブジャブ」にしてきたといい、マスコミもそれを鵜呑みにして報道する。しかし、世界で見れば、2000年代の日本のマネー伸率は世界最低である。そのため、世界最低の物価上昇率、世界最低の名目成長率になっている。
これだけのデータを示しても、日銀はデフレ(継続的なインフレ率のマイナス)脱却をできないというだろうし、これまでもそう言い訳してきた。今回の発表では、「長期的なインフレ率は主に金融政策によって決定される」(米連邦公開市場委員会(FOMC)声明)と書かれている。これでもう言い逃れはできないだろう。
それでも、政府の対応は緩い。インフレ目標を日銀に与える日銀法改正について、27日みんなの党渡辺喜美代表の衆院本会議での質問に対して、野田首相は「政府の関与をこれまで以上に強めるもの」とし、「中央銀行の独立性の観点から慎重に考える必要がある」と消極的だった。
2、3%程度のマイルドインフレにすれば、名目4,5%程度の成長になって、5%アップの消費税増税が目論む税収増はえられる可能性が高い。これからの国会審議では、消費税増税法案にせめて日銀法改正を条件として盛り込んだらどうだろうか。
米軍普天間飛行場を抱える沖縄県宜野湾市の市長選は12日投開票され、無所属で新人の前県議、佐喜真淳氏(47)=自民、公明、新党改革推薦=が、無所属で元市長の伊波洋一氏(60)=共産、社民、沖縄社会大衆推薦=を破り、初当選を果たした。佐喜真氏は、選挙戦で支援を受けた仲井真弘多知事と連携して、普天間の県外移設を求めていくとみられる。
宜野湾市は市域の約4分の1を普天間飛行場が占める。このため、前市長の病気辞職に伴う今市長選は、普天間飛行場移設問題が最大の争点となった。辺野古移設をかつて容認した経緯のある佐喜真氏は今市長選で県外移設を主張。伊波氏は一貫して県外、国外移設を主張してきている。
沖縄では、普天間固定化の懸念が深まる在日米軍再編見直しの動き、選挙への介入疑惑が浮上した沖縄防衛局長の「講話」問題などから、政府への不信感が高まっている。
普天間問題を巡って県内移設反対の姿勢が強硬な伊波氏に比べて柔軟性に政府が期待感を寄せているとみられる佐喜真氏だが、仲井真知事と連携して県外移設を求めていく方針で、政府の今後の沖縄の基地問題への取り組みに影響を与えそうだ。【井本義親】
[ロサンゼルス 11日 ロイター] グラミー賞など数々の賞を受賞した米人気歌手で女優のホイットニー・ヒューストンさんが11日死去した。48歳だった。広報担当者が明らかにした。
米カリフォルニア州ビバリーヒルズの警察当局者は記者団に対し、現地時間午後3時20分ごろ、ロサンゼルス市内のホテル「ビバリーヒルトン」から救急当局に通報があり、同3時55分に死亡が確認されたと発表した。これ以上の詳しい情報は明らかになっていない。
ヒューストンさんは12日のグラミー賞授賞式のためにロサンゼルス入りし、死亡確認時刻の数時間後には、同ホテルでの前夜祭パーティーで歌を披露する予定だった。
ソウルシンガーの母を持つヒューストンさんは、ニュージャージー州出身。1980、90年代にヒット曲を次々に送り出し、世界で最も著名な女性シンガーの1人になった。
代表作は主演も務めた映画「ボディーガード」のサウンドトラックにも収録された「オールウェイズ・ラブ・ユー」。同サントラは1994年のグラミー賞最優秀アルバム賞を受賞した。
2月10日(ブルームバーグ):米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長は、銀行による住宅ローンの貸し渋りで、金融当局の景気押し上げへの取り組みが妨げられているとの認識を示した。また政策当局者らに対し、住宅市場問題の解決のため追加措置を講じるよう求めた。
議長は10日、フロリダ州オーランドで講演。「金融当局の政策は、住宅ローン金利をここ数十年で最も低い水準まで押し下げるのに役立った」とした上で、「それでもなお、われわれが望むほど活発な動きは見られない」と続けた。
さらに、「住宅ならびに住宅ローン市場の状況は、金融システムの回復および信用状況の正常化をも妨げている可能性がある」と述べた。
住宅バブル破裂後に見られる金融機関の高い融資基準については、「ある程度の引き締めが必要なのは疑いない」とした上で、「そうは言っても、振り子はすでに反対方向に振れ過ぎているとみられる」とも指摘。「信用状況は依然として金融システム、建設業界そして経済の健全性にとって厳し過ぎるものだ」と続けた。
バーナンキ議長は、「多くの融資機関がリセッション(景気後退)以前と比較して融資の引き受け条件を大幅に引き締めている」ことから、住宅市場は緩慢なペースでの回復になっていると説明。「現在の融資慣行は一部では、信用力ある家庭への融資さえも限定もしくは阻止する障害を反映しているよう思われる」と述べた。
毎日新聞【ローマ藤原章生、ロンドン会川晴之】ギリシャのパパデモス首相と連立与党は9日未明、同国への第2次金融支援の前提条件である財政再建策をめぐり、最低賃金の引き下げなどほとんどの点で合意したと表明した。ただ焦点の年金給付の削減案は合意に至らなかった。ユーロ圏議長のユンケル・ルクセンブルク首相は8日夕、ユーロ圏諸国(17カ国)の緊急財務相会合を9日夕(日本時間10日未明)に開くと発表。国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事も参加する予定で、難航するギリシャの第2次支援の決着に向け協議を後押しする構えだ。
ギリシャの与党3党は最低賃金の約20%の引き下げのほか、公務員の1万5000人の削減などでも合意した。追加の30億ユーロ(3100億円)に上る歳出削減も国防費や社会保障費の削減など大枠で与野党が暫定合意。パパデモス首相は9日未明、一部の項目をのぞき大筋合意に達したとの声明を発表した。
ただ欧州連合(EU)などが求めた年金削減をめぐっては、8日の協議でも与党3党首は拒否。9日、再協議することになった。
一方、ギリシャの国債の返済負担の軽減交渉も進展した。金融機関は、保有する同国国債について実質的に元本を約7割削減することで受け入れる方向となり、9日にも合意する見通しだ。欧州中央銀行(ECB)が昨年5月から市場で購入したギリシャ国債も削減を求める議論が続いており、財務相会合に出席するECBの対応もカギとなる。
EUは昨年10月、ギリシャに対する総額1300億ユーロ(約13兆円)の第2次支援策を決めた。だがギリシャ経済が悪化し財政赤字削減が進んでいないため、踏み込んだ歳出削減策などを求めていた。
第2次支援は、ギリシャの累積債務を国内総生産(GDP)比で、現在の160%から20年に120%に引き下げるのが目標。ギリシャは3月20日に145億ユーロの国債償還(借金の返済)を控えており、支援策が合意に至らなければギリシャのユーロ圏からの離脱や無秩序な債務不履行(デフォルト)を引き起こしかねない。支援策の実施には1カ月程度の事務手続きが必要とされ、時間との闘いとなっている。
[ロンドン 9日 ロイター] イングランド銀行(英中央銀行)は9日、資産買い入れプログラムの規模を3250億ポンドに拡大することを決定した。
現行の2750億ポンドに500億ポンド上乗せし、ぜい弱な景気下支えを狙う。主に英国債を買い入れるとしている。
政策金利は過去最低の0.5%に据え置いた。
ロイター調査でも、英中銀が向こう3カ月にさらに500億ポンドの国債を買い入れるとの見方が大勢だった。
キング中銀総裁はこの日の決定について説明するためのオズボーン財務相宛ての書簡で、「最近の一部企業調査でこれまでより明るい見方が示され、資産価格は上昇した」と指摘。ただ「英国の主な輸出市場の景気拡大ペースも鈍化し、ユーロ加盟国の債務水準、および競争力に関する懸念は依然として存在している」との見方も示した。
オズボーン財務相はキング総裁宛の書簡で、政府が緊縮財政措置を実施するなか、中銀の緩和的な金融政策は景気支援に向け引き続き「重要な」役割を果たし、経済見通しの変化に対応する主要な手段であり続けるとの認識を示した。
英中銀は2011年10月、英経済をユーロ圏債務危機から守ることを目的に、4カ月間にわたり750億ポンドの英国債を買い入れることを決定。市場予想よりも早い段階で資産買い入れプログラムの再開に踏み切った。
今回の買い入れ枠の500億ポンド上乗せは大方エコノミスト予想に沿ったものだったが、英中銀が資産買い入れプログラムを通して買い入れる英国債の平均償還期限を短期化させるとの「運用上の」変更を行ったことは、市場では予想外と受け止められている。
英中銀はこれまで3─10年債、10─25年債、償還期限が25年以上の国債を対象に買い入れを行ってきたが、週3回実施するリバースオークション(競り下げ入札)の対象を、それぞれ3─7年債、7─15年債、償還期限が15年以上の国債とすると発表。「今回の運用上の変更は、特定の償還期限の国債を中銀が保有することにより、国債市場の機能に望ましくない摩擦が発生するリスクを軽減することを目的としている」とした。
エコノミストの間では、英中銀が5月に資産買い入れ枠をさらに拡大させるとの予想が大勢となっている。ただ、一部金融政策委員は追加緩和に対して慎重になっているとの見方も出ている。
キャピタル・エコノミクスのビッキー・レッドウッド氏は「量的緩和第2弾(QE2)はさらに続くとみている」と述べた。ただ、「デール理事など、インフレ率が大きく低下するとは確信していない委員が一部存在するとみられるため、この日の決定は全会一致ではなかった可能性がある」とし、こうした委員は資産買い入れ枠の2750億ポンドでの据え置きにに投票した可能性もあるとの見方を示した。
8─9日に行われた今回の金融政策委員会会合の議事録は2週間後に公表される。
ロイター2012年 02月 10日
われわれはユーロ圏経済が、2012年全般にわたり非常に緩やかに回復すると予想している。超低水準の短期金利に加え、ユーロ圏の金融部門の機能正常化に向け導入されたすべての措置が、ユーロ圏経済に対する支援となっている。
<インフレ率>
インフレ率は向こう数カ月は2%を上回って推移し、その後2%を割り込む公算が大きい。
<物価リスクはおおむね均衡>
中期的な物価動向に対するリスクは、おおむね均衡している。
<物価安定>
金融政策により、ユーロ圏全体の物価安定が保たれることが重要だ。これにより、中期的なインフレ期待を2%に近いか、これをやや下回る水準とするECBのインフレ目標に沿ってしっかりと確実に固定させることができる。
こうしたことは、金融政策がユーロ圏における経済成長と雇用創出に貢献できるようにするための前提条件となる。
引っ込み思案なECBでさえインフレターゲットを2%にしている。これどうよ、日本銀行さん?!
[ワシントン 9日 ロイター] 米労働省が9日発表した2月4日までの週の新規失業保険週間申請件数(季節調整済み)は35万8000件と、前週の37万3000件(改定値)から1万5000件減少し、アナリスト予想(37万件)を越える減少となった。労働市場の勢いが増していることが示された。
4週間移動平均は前週比1万1000件減の36万6250件で、2008年4月以来の低水準となった。
4CAST(ニューヨーク)のエコノミスト、ショーン・インクレモナ氏は「実際のところ、労働市場の明るさが増しているようだ」と指摘。「雇用創出はこの回復を持続させ続けることになろう。予想していたよりも状況は良い」と語った。
1月28日までの週の受給総数は前週比6万4000件増の351万5000件。エコノミスト予想は350万件だった。
1月21日までの週の緊急失業保険の申請件数は2万1789件減少し、299万件となった
サブプライムローンショック、リーマンショックから多額のインフラ整備、ローン債権、モゲージ証券の買い取りなどデフレ阻止の金融政策が打たれて、2年かかって、やっとこさ実体経済が回復しだしたという処だろう。資産買い取りに積極的だったFRB、イングランド銀行は、経済成長の波を作り出せるだろう。
反対に。ユーロ共同債も発行せづ、破綻懸念のあるギリシャ、イタリア、などの国債の買い取り、市中債権も購入しないECBのようするEUは、成長率マイナスに傾くに決まっている。そのような中、イタリア、フランスは消費増税をする、フランスはそれと組み合わせて、企業に対しては減税だそうである。後者は最悪の事態を招くだろう。減税の恩恵を受ける企業側は、経済が失速するのを予想して、設備「投資」に向かわないだろう。内部留保が増えるだけのけかしか想像しがたい。
さらに最悪の国が日本であるが、デフレターゲットの日銀と需要不足のGDPギャップを抱え込んだまま「消費」増税で、経済成長はマイナスに振れるのは確実だ。デフレターゲットを採り続ければ、円高は続くと機関投資家は判断するだろうし、また実際70円台の為替相場はそのまま続いている。
2月8日(ブルームバーグ):昨年12月の日本の経常収支黒字額は10カ月連続で減少した。海外経済の鈍化や円高を背景に輸出の低迷が続き、貿易収支が3カ月連続赤字となったことが主な要因。貿易赤字は定着しつつあるが、安定した所得収支の黒字によって経常収支の黒字は維持された。
財務省が8日発表した12月の国際収支状況(速報)によると、海外とのモノやサービスの取引状況を示す経常収支黒字額は前年同月比74.7%減の3035億円だった。貿易収支の赤字額は1458億円。一方で、海外投資からの収益を示す所得収支は黒字幅が拡大し、同19.7%増の7005億円だった。
ブルームバーグニュースのエコノミスト調査によると経常収支の予想中央値は前年同月比71.2%減の3401億円、貿易収支は1350億円の赤字。
同時に発表された2011年通年の経常収支は9兆6289億円の黒字で、黒字幅は前年から43.9%の大幅減。貿易赤字が48年ぶりの赤字となったことなどが響いた。
モルガン・スタンレーMUFG証券の佐藤健裕チーフエコノミストは統計発表前のリポートで、先行きについて「燃料輸入が高止まりする一方、欧州経済を中心とする世界経済の減速に加え、円高の影響も徐々に顕在化することから貿易収支は当面、赤字圏内で推移する可能性が高い」と指摘している。
貿易収支の内訳は、輸出額が前年同月比7.0%減の5兆4435億円と3カ月連続で減少。輸入額は同9.8%増の5兆5893億円で、2年連続の増加となった。
ユーロ、解体の道に踏み出す
ギリシャの債務危機勃発から2年たった今、欧州共通通貨「ユーロ」は解体の道に踏み出した、と言ってもよさそうだ。この間、欧州連合(EU)はユーロ危機打開に向け、この1月末までに16度も首脳会議を開いたが、ギリシャはユーロの盟主ドイツが突きつける緊縮財政要求を拒絶する。ギリシャが離脱すれば、ポルトガル、スペイン、さらにイタリアと連鎖しかねないが、ドイツは南欧抜きで再結束を図る覚悟のようだ。
「北」と「南」に分裂
なぜ「解体」が不可避か。ユーロが利益になる「北」と、重荷になる「南」にユーロ圏が分裂し修復できそうにないからだ。
通貨がないとヒト、モノ・サービスを活動させられない。国としての考え方、政策が信頼されないと外部からカネが入ってこない。対外重債務国ギリシャは政府債務の一部の返済を免除されたところで、残りの債務や新規の借金をきちんと返済できなければ、だれからも貸してもらえない。打開するためには、国民が厳しい緊縮生活に耐えるしかないが、失業率が20%近い中、失業保険も医療保険制度も破綻し、国民は疲弊しきっている。政治指導者が代わっても、債権者からの信用を回復させられる見通しは示せない。主力は観光産業なのだが、治安の悪化で不振を極めている。最大の打開策は通貨の大幅切り下げで、国際競争力を取り戻すことだ。ならば、古代ギリシャ以来の通貨「ドラクマ」に復帰し、思い切ってユーロの10分の1といった水準に切り下げるしかない。
東西冷戦終了時の1990年にポーランドを訪ねたとき、当時の日本では500円以上はするだろうと思えるランチセットがわずか5円程度だったことを思い出す。30年以上前の中国も同様だった。残酷な現実だが、あえて自国通貨をとことんまで切り下げることが、相対的に痛みの少ない実体経済再建の第一歩になるのだろう。ユーロはギリシャにとって今や足かせでしかない。
リーマンの一撃
ここで、グラフを見ていただこう。ユーロ加盟の問題5カ国、ギリシャ、ポルトガル、アイルランド、イタリア、スペインと、フランス、ドイツの標準国債の利回り推移である。2002年にユーロ建て国債が普及して以来、各国債利回りはほぼ1本の縄となり安定していたが、08年9月のリーマン・ショックに直撃されバラけてしまった。欧州の金融機関がバブル崩壊した米金融商品を大量に抱えていたため、信用不安はたちまち欧州に波及し、財政に問題のある国の国債が売られた。その後一時的に持ち直しかけたが、10年初めにはギリシャ政府が米金融大手のゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースに法外な手数料を支払って膨大な債務を帳簿外に飛ばしてきたことが露見した。ギリシャ問題をきっかけに、その他4カ国の放漫財政も表面化し、11年後半には大国イタリアまでも国債利回りが債務危機の目安とされる7%を突破した。
ユーロ加盟以来、強いユーロのおかげで、全員がそれぞれの財政規律とは無関係にドイツ並みの低金利借金で財政支出してきたが、リーマンの一撃で豪華なユーロの衣装が吹き飛ばされた。
するとユーロ加盟国の間で明暗がはっきりするようになった。リーマン以来、ユーロはドルに対して8%、円に対して33%下落した。ドイツの輸出は国内総生産(GDP)比が約38%(日本は約15%)で、ドイツの輸出産業はすっかり息を吹き返し、失業率は11年12月で5・5%と低い。対照的に輸出産業の比率がさほど高くない他の国々の景気は冷え込んだままだ。失業率はスペイン同22・9%、アイルランド14・5%、ポルトガル13・6%、イタリア8・9%と苦しんでいる。
時間稼ぎに焦点
従ってドイツはユーロ危機の中の最大の勝ち組なのだが、ドイツ国民は、野放図に見えるギリシャ、イタリアなどの財政支援に猛反対する。リーマン後、ドイツの労働界は賃上げ要求を控え、雇用維持を優先してきた。年4%程度の賃上げを続けてきた楽天的なイタリアなどと対照的な「緊縮」ぶりだ。そこでメルケル首相はギリシャ政府に対して財政主権を放棄し、EU当局に移譲するよう迫る強硬論をぶつ。ギリシャは一歩も譲らない。この構図はドイツを中心とするユーロ圏北部と南欧の対立の縮図といえるだろう。
欧州中央銀行(ECB)はユーロ札を刷って、ギリシャ国債を買い支えている。国際通貨基金(IMF)も支援の構えを見せているが言葉だけだ。もはやギリシャ、さらに他の南欧各国の離脱に伴う金融市場の混乱を最小限に抑える準備のための時間稼ぎに焦点が移っている。
民主党の仙谷由人政調会長代行は5日のNHK番組で、衆院選政権公約(マニフェスト)に「月額7万円の最低保障年金を実現」と掲げたことについて、「選挙戦の際には『明日から7万円渡す』みたいな議論になっていたのではないか。謝罪というか、『誤解を生んで申し訳ございません』と言わないといけない」と釈明した。
野田政権は、新年金制度に移行するまでの約40年間は「満額支給」は困難との立場を表明した。政府・与党幹部が政権公約で掲げた最低保障年金について公の場で謝罪したのは初めて。
小沢一郎元代表や鳩山元首相が消費税率引き上げに反対していることについて「社会保障などでやらなければならない施策の財源が決定的に不足している。危機感が弱すぎるのではないか」と批判した。
(2012年2月5日18時18分 読売新聞)
民主党の前原政調会長は20日のBS朝日の番組収録で、小沢一郎元代表グループなどの議員が消費税率引き上げに反対していることについて「党内議論に参加せず、外で文句を言うのはおかしい。意見があるなら出てきて言ってほしい」と批判した。
(2012年1月20日20時35分 読売新聞)
パナソニックが3日、2012年3月期に過去最悪となる7800億円の最終赤字に転落する見通しを発表した。かつて世界を席巻した国内電機メーカーの業績は壊滅的で、大手8社のうち7社が通期業績を下方修正し、うち4社が最終赤字に陥る見込みだ。8社の最終損益見通しを合算すると1兆円弱の赤字になる。円高やタイの洪水などで経営環境が急激に悪化し、人員削減などのリストラも対症療法の域を出ない。各社は新たな成長エンジンを手に入れ、危機的な状況を乗り越えられるのか。
◆痛みも辞せず
「巨額の赤字に責任を痛感している。テレビと半導体で構造改革をやり切り、来期は何としても業績をV字回復させる」
同日夕、都内で開いた決算会見でパナソニックの大坪文雄社長は悲壮な決意とともに、続投して赤字脱却を目指す姿勢をみせた。経営統合した三洋電機などとの重複事業を整理するため、10年3月末からグループ従業員3万人以上の削減を進めてきたが、難局を乗り切るには一段のリストラを迫られそうだ。
「避けて通れない、痛みを伴う選択を実行する場面があるかもしれない」。4期連続で最終赤字となるソニーの平井一夫次期社長も2日の会見で、事業撤退や人員削減などのリストラも辞さない姿勢をみせた。
NECも携帯電話事業などの不振を受け、外部委託事業を含めて国内外で約1万人の大規模な人員削減に踏み切る。瀬戸際の電機メーカーに聖域はない。
◆「王様」の没落
12年3月期に記録的な大赤字に陥るパナソニック、ソニー、シャープは、いずれも家電事業を中心とした弱電系メーカー。収益悪化の元凶がテレビ事業の不振にあるのは明らかだ。
「想定以上に悪化した」。シャープの片山幹雄社長が漏らすように、家電エコポイント制度終了と地上デジタル放送への完全移行で、需要が急減。韓国や中国勢との競争が価格下落に拍車をかける構図も変わらない。
「売れば売るほど赤字」のテレビだが、各社の総売上高に占める割合はいまも大きく、ソニーが16%、パナソニックが11%。「液晶一本足打法」と揶揄(やゆ)されるシャープは25%にも上る。生産体制の縮小や減産、自社生産からの撤退だけでは“止血”できず、「家電の王様」だったテレビからの撤退という選択肢すら現実味を帯びてきた。
◆存在感増す「白物」
収益源を今後どこに求めるのか。存在感を増しているのが、かつて「お荷物」だった冷蔵庫やエアコンなどの白物家電だ。
パナソニックはテレビなど主力のAV(音響・映像)機器が通期で赤字となる一方、白物事業は省エネ・高機能品が好調で売上高営業利益率は7.2%を確保。「厳しい経営環境の中、白物家電は海外で2桁成長」(大坪社長)といい、今や堂々の稼ぎ頭だ。日立製作所の中西宏明社長も「ここ数年の白物での省エネ需要の高まりが東日本大震災で加速した」と話す。
新規事業の構築も急務だ。「インフラの抜本強化に向けた組織を作り上げる」(中西社長)。日立はスマートグリッド(次世代送電網)や鉄道などの強化に向け、4月に組織運営体制を見直すと同日発表し、重電分野へのシフトを鮮明にした。東芝や三菱電機も新興国のインフラ投資をターゲットにする。
各社は医療・健康事業も将来の成長エンジンと位置づけて強化を急いでいる。ソニーなどがオリンパスとの資本・業務提携を模索するように、「電機メーカーの新分野開拓が、業界再編を加速させる」(アナリスト)という可能性もある。
民主党の小沢一郎元代表は4日までに共同通信の単独インタビューに応じ、野田佳彦首相の消費税増税方針は「筋道が違う。経済政策としてもおかしい」と述べ、法案採決では反対に回る意向を表明した。国民の理解が得られないとして、野田首相が衆院解散・総選挙で信を問うのは困難とも主張。次期衆院選が後継首相の下で早期に実施される可能性に言及した。自らの離党は否定した。
党内最大勢力を抱える小沢氏が増税法案への造反を明言したことで同調者が相次ぐのは必至。参院与党過半数割れと合わせ、最重要課題の実現は一層遠のき、首相の政権運営が行き詰まる可能性も出てきた。