プロボクシングのダブル世界タイトルマッチ各12回戦が3日、東京・有明コロシアムで行われた。世界ボクシング評議会(WBC)スーパーフライ級元王者で同級2位の川嶋勝重(32)=大橋=は、同級王者のクリスチャン・ミハレス(25)=メキシコ=に十回1分5秒TKO負け。昨年9月の暫定王座決定戦で判定負けした相手に雪辱を果たせず、05年7月に徳山昌守(金沢)に判定負けして失った王座奪回に失敗した。ミハレスは2度目の防衛。日本の現役世界王者は6人のまま。
世界ボクシング協会(WBA)スーパーフェザー級王者、エドウィン・バレロ(25)=ベネズエラ=は、世界初挑戦の同級12位、ミチェル・ロサダ(23)=メキシコ=を一回1分12秒TKOで破り、初防衛に成功した。バレロはデビュー以来、21戦21連続KO勝ち。[ 1月3日 21時50分 更新 ]毎日
〇ミハレス(TKO)川嶋●
ミハレスが的確な連打をまとめて優位に立ち、十回TKO勝ち。一回はワンツーや左アッパーの上下打ちを見せ、四回は左アッパーを何発も好打。その後は川嶋のラッシュに下がりながらも、インサイドから連打を上下に打ち分けた。十回、右フックでダウンを奪うと(判定はスリップ)、ラッシュしてレフェリーストップを呼び込んだ。川嶋は五回以降左ボディーフックからの連打で盛り返したが、スピードとパンチの的確さで劣った。
○…王者の貫録を示したミハレスは「厳しい試合になると予想していたが、勝ててうれしい」。一回から打ち合いを展開。十回、川嶋がスリップで倒れると、左右の連打で攻め立てTKOに仕留めた。昨年9月の対戦で二回にダウンを喫した反省から、「ガードを下げないように」とも心がけたという。2度目の防衛に成功した25歳は「調整がうまくいったから落ち着いて戦えた」と語り、「防衛を重ね、もう一階級上のクラスでもやってみたい」と、どん欲な姿勢を見せていた。
【略歴】クリスチャン・ミハレス 81年10月2日、メキシコ生まれ。97年8月にデビューし、04年3月に同国スーパーフライ級王座獲得(3度防衛)。昨年9月、川嶋勝重(大橋)に判定勝ちし、WBC同級暫定王座に。昨年11月に初防衛に成功。先月、徳山昌守(金沢)の王座返上で正規王者に昇格した。左ボクサーファイター。35戦30勝(11KO)3敗2分け。
☆右フックでダウン、36戦目で初のKO負け
パンチを浴びて顔を腫らしながらも、川嶋は希望を捨てていなかった。五回以降は左ボディーフックで技巧派サウスポー・ミハレスの逃げ道をふさぎ、打ち合いに持ち込むことに成功。八回終了後の途中採点は「77―75、79―73で2人がミハレス、1人は76―76」と発表され、「残り4回を取れば2―1の判定で勝てる」と意気込んだ。
しかし十回、単調に前進したところに狙いすました王者の右フックを浴びてダウン。レフェリーはスリップと判定したが、効いていた。再開直後に右フックを受けた後は、記憶がない。もうろうとした意識の中、連打を何十発と浴びながらロープにもたれ、最後までダウンを拒んだのはボクサーの本能だった。
36戦目で初めて味わうKO負けに「左アッパーを警戒していたら、右をもらってしまった。KO負けした先輩や後輩が『気が付いたら控え室だった』と言っていた気分を味わえてよかった」と、悔しさをかみ殺して苦笑い。昨年9月、ミハレスに判定負けした直後の控え室で現役引退を表明したが、10月に引退を撤回。「苦しい試合をして勝ちたい」と持てる力を出し切る決意で臨んだ再戦だったが、スピードと技術の差は大きかった。
「40歳で世界チャンピオンを目標にしたい。まだまだ強くなれますよ」と、今回は現役続行に意欲を見せる。だが、フットワークの乏しさなど課題を克服できず、持ち前のタフさに陰りが見える32歳の元王者の前途は、極めて厳しい。【来住哲司】
〇バレロ(TKO)ロサダ●
バレロが2度のダウンを奪って一回TKO勝ち。右ジャブでロサダを追い、相手の右ストレートをよけて放った左ストレートでダウンを奪取。さらに連打で詰めて左ストレートで倒し、レフェリーが試合を止めた。王者は強打と踏み込みの鋭さが際立ち、挑戦者は何も出来なかった。
○…初の世界戦で一回TKO負けの屈辱を味わったロサダは「バレロのパンチを阻むことができなかった。試合内容はよく覚えていない」。立ち上がり早々に左ストレートを浴びてダウンを喫するなど、力の差を見せつけられた。23歳は「今日は一つのつまずきと受け止めている。今後も挑戦していきたい」と気持ちを切り替えていた。
【略歴】エドウィン・バレロ 81年12月3日、ベネズエラ生まれ。アマ86勝(57KO)6敗。02年7月プロデビュー後、18試合連続一回KO勝利の世界タイ記録を樹立した。05年8月、帝拳ジムとプロモート契約。昨年3月の19戦目は二回TKO勝ち。昨年8月、ビセンテ・モスケラ(パナマ)を十回TKOで降し、WBAスーパーフェザー級王座を獲得した。昨秋、東京に移住。左ファイター。21戦21勝(21KO)。
☆「カミナリパンチ」でKO街道を突き進む
まさに秒殺。バレロは1分12秒で初防衛を決めた。帝拳ジムとプロモート契約を結び、昨年10月から東京都内で暮らす25歳はダウンを奪った左こぶしを掲げ、「カミナリ(雷)パンチね」と覚えたての日本語で言った。
これで21連続KO勝利のうち19戦が一回で決着。KOの極意をバレロは「倒すという本能が人より強い」と言う。ロープを背にしたロサダが右を放ってガードが空いたのを見逃さず、左ストレートであごを打ち抜いて最初のダウン。立ち上がった相手にたたみかけ、最後も左を当てた。
試合後は「大きな試合に向けた経験を積むために、もっと長いラウンドを戦いたかった」と余裕を見せたバレロ。当面の目標は同級最強と言われるランキング1位のマニー・パキャオ(フィリピン)を退けることにある。どこまでKO街道を突き進むか。【小坂大】



