徒然流Blog

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富山の冤罪―弁護士の責任も重い

 

「無罪判決をもらっても、真実が闇に葬られたままなので、うれしくない」

 無実の罪で2年余り服役した富山県の40歳の男性は、富山地裁高岡支部の再審で無罪を言い渡され、こう述べた。

 この男性が問われたのは、強姦(ごうかん)と強姦未遂の罪だ。別の事件の被告が犯人であることを認めたため、検察が再審を請求した。だから、結論は決まっていた。男性が知りたかったのは、なぜ自分が犯人に仕立てられたのかということだ。

 しかし、判決は冤罪の原因について何も触れなかった。裁判長は「無実であるのに有罪判決を受けて服役したことを誠にお気の毒に思う」と述べたが、5年前に同じ裁判所が間違った判決を下したことについて謝罪はなかった。 朝日新聞



 裁判は有罪か無罪かを判断すれば足りるということなのだろうが、あまりに市民感覚からかけ離れた考え方だ。

 今回の冤罪の特色は、男性が捜査段階だけでなく、裁判になっても犯行を認めたことだ。やっていない罪を男性に認めさせ続けたものはなんだったのか。その原因をえぐり出さない限り、同じような冤罪が再び起こる恐れがある。

 男性によると、やっていないといくら言っても、取り調べの警察官は取り合ってくれなかった。「親族が『おまえに間違いないからどうにでもしてくれ』といっている」と何度も言われた。そんななかで、犯行を認めてしまったという。

 それでも、男性は逮捕された後、検察官や勾留(こうりゅう)質問の裁判官、接見した弁護士に犯行を否認した。

 ところが、警察の取調官から再び、犯行を認めるよう迫られ、「発言を覆さない」という念書を書かされた。裁判で否認しても信じてもらえないとあきらめたという。

 男性は犯行現場の部屋の見取り図も取調官に無理やり書かされたという。念書や見取り図の問題について、警察は否定しているが、真相はどうなのか。

 再審裁判で、男性側は取り調べた警察官の証人尋問を求めた。しかし、裁判所は認めなかった。真実の解明に目をつぶったと言われても仕方ない。

 当時の弁護活動にも重大な問題がある。接見で否認していた男性が再び自白に転じたことに、国選弁護人はなぜ疑問を持たなかったのか。そもそも被告の言い分に十分耳を傾けたのだろうか。

 弁護士は被告の権利を守るのが仕事だ。その責任を果たしたか疑わしい。

 日本弁護士連合会は当時の弁護活動が適切だったかを調査する。遅きに失したが、徹底的に解明して公表すべきだ。

 1年半後に市民が刑事裁判に参加する裁判員制度が始まる。そこでは迅速な審理が必要なため、法廷での供述がこれまで以上に重視される。その法廷で、強制された自白がそのまま出てくるようでは、誤った判決につながりかねない。

 弁護士の責任はいっそう重くなることを肝に銘じてほしい。

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