イスラエル、ハマス攻撃阻止の文言なし
ハマス、イスラエル批判の増幅狙う
【エルサレム10日阿部正寿】イスラエルも、ハマスも9日、国連安全保障理事会が8日夜に採択した「即時かつ恒久的な停戦」決議案を拒否して、戦闘を続行した。
イスラエルが同決議を拒否した理由は、今回の開戦理由である「ハマスからのロケット弾発射阻止」を求める文言が、アラブ諸国の反対で盛り込まれなかったこと、および決議案採択後もハマスのロケット弾がイスラエル国内に着弾、実効性が伴っていないことが証明されたことによる(オルメルト・イスラエル首相)。
ハマスが、同決議がガザ住民の窮状を救いうる多くのことに言及したにもかかわらず拒否した理由は、過去6カ月間の停戦破棄の理由であるイスラエルとの境界線の開放に対する「保証」がない、との表面上の理由よりも、戦闘継続により、ガザ住民の犠牲を(殊に女性や子供の)をより増大させることによって、イスラエルへのガザ住民および国際世論の批判を増大させ、ハマス支持を拡大させようとする「戦略的判断」があるようだ。
ハマスの拒否決定は、シリアに亡命中の最高指導者マシャール氏をはじめとしたパレスチナ武装勢力指導者らの協議によって行われた。身の安全をシリアに守られながらの決定は、ハマスが、ガザ住民の命以上に、自組織の強化を考える体質をさらけ出した格好だ。
一方、国連に陣取って、期間を延長しながらも国連決議の採択に奔走したアラブ諸国指導者らは、各国内で盛り上がる反イスラエル運動への対応から、「国連決議採択なしには帰国できる代表者は1人もいない」として、強引とも言える手法で採択にまで持ち込んだものの、当の当事者双方に拒否され、その努力も水泡に帰した感がある。
自国内の反イスラエル運動への対処を考慮するあまり、ハマスのイスラエル・ロケット弾攻撃停止への言及を怠り、イスラエルを説得するには不十分な内容に留まった点が大きい。
当初、ハマスの姿勢を批判したアッバス議長も、エジプトやサウジの代表も、アラブ世論に押される形で、イスラエル批判だけを展開、国連決議に公平性を付与することができなかったことが、決議を実効性の伴わない不十分なものにした。
2009/1/10 19:58



