[東京 1日 ロイター] 衆議院選挙の政権公約(マニフェスト)に関する自民・民主の討論会が1日、言論NPOの主催で開かれた。政府と日銀の関係について、民主党の福山哲郎政調会長代理は「日銀の独立性を守る」スタンスであると述べた。民主党は日銀総裁・副総裁の国会同意人事などで政府の提案に不同意を示すなど注文をつけてきたが、日銀総裁の適格性を判断することと日々の金融政策に介入することとは違うとし、金融政策については日銀の判断を尊重する考えを初めて明確に示した。
社会保障制度の再構築と消費税引き上げの是非に関連しては、自民党は安心社会実現がマニフェストの重要な部分だと指摘。園田博之政調会長代理は「何カ年後かはわからないが、社会保障制度を支える財源として消費税をアップさせてもらいたい」と述べ、消費税上げの必要性を明記する考えを示唆した。一方、民主党は既に第1期の4年間は消費税を据え置く方針ををマニフェストに明記する考えを明らかにしている。将来の引き上げの必要性は排除しないが、民主党が主張する年金制度改革だけでなく、社会保障制度全体のコストをどのように賄うのかはなお不透明だ。
財政健全化目標の再構築については自民党は「財政再建に消費税には一切頼らない」と強調。民主党は「目標を設定すべきかどうかも含めて検討中」と述べるにとどめた。
討論会には、自民党から園田博之政調会長代理が出席。民主党からは、長妻昭政調会長代理(ネクスト官房副長官・ネクスト年金担当相)と福山哲郎政調会長代理(ネクスト官房副長官)が出席した。
以下が主な発言内容
<政府と日銀の関係>
自民・園田氏「金融政策はデリケートな問題で、答えられない」
民主・福山氏「われわれは日銀の独立性を守る。日銀総裁の適格性を判断することと日々の金融政策に介入することとは違う。そこは峻別する」
<社会保障制度改革と消費税>
自民・園田氏「安心社会実現がマニフェストで相当重要な部分。日本の安心社会を実現するためにはこういうことが必要だということを訴えていきたい。その方針は既に明確になっている。少子高齢化のなかで安心社会実現の中核をなす社会保障制度が『若い人でお年寄りを支える・元気な人で病んだ人を支える』構図が崩れてしまった。従って、社会保障制度を国民全員で支える仕組みにする。具体的には、何カ年後かはわからないが、社会保障制度を支える財源として消費税をアップさせてもらいたい。年金・医療・介護に加えて少子化対策も広く社会保障制度の重要な施策と位置づけ、そのために、必要な費用を消費税で賄う。消費税を何年後かに上げることができたときは、地方に回す分は除き、その他はすべて社会保障のために使う。1円たりともその他の経費に使うことはない」
民主・長妻氏「優先順位の低いところに税金が流れる仕組みが長年にわたって温存されてきた。ひも付き補助金、天下りあっせん、特別会計、官製談合、随意契約で、この仕組みに徹底的にメスを入れる」
「われわれも、未来永劫消費税を上げないで未来が築けるとは思っていない。1期目はこの浪費の仕組みにメスを入れる。欧米並みに浪費がなくなって初めて国民に向かって、国政選挙の前に率と負担の中身を示し、審判を受けた後に負担をお願いする」
<財政再建目標>
自民・園田氏「消費税上げは財政再建を目的にしていない。その他の税目で財政再建をやっていく」
自民・園田氏「消費税には一切頼らないが、経済対策で大きな支出をした。今の経済状況なら、来年も再来年も(財政)支出せざるを得ない。財政再建目標年次を遅らせる結果になったが、財政再建には消費税は充てない。歳出削減の新たな目標を作らなければならない」
民主・長妻氏「消費税は第1期目は上げない。財政赤字に関しては、長期金利動向を注意深くウオッチしながら政策運営しなければならない。今どういう目標が設定できるのか、設定すべきかどうかも含めて検討中」
民主・福山氏「プライマリーバランスの均衡化をいま急激に進めることは小泉政権の二の舞になる。セーフティネットを整備し、将来に安心を与えることが経済的にも日本が浮揚するひとつのきっかけになる。議論はしていかなければならないが、まずは目の前のことをやる」
<小泉改革の評価>
自民・園田氏「戦後日本の社会構造はひとつの型にはまってやってきた。これが日本の発展を阻害した。それを壊してしまうことをやったのは高く評価できる。必要ではないものを壊すという意味で大改革だった。ただ、問題は将来が非常にみえにくい状況で、いくつか修正せざるを得ないものが出てきた。基本的には『官から民へ』、『国から地方へ』という方向は変える必要はまったくないが、見直さなければならないところが出てきている」
民主・長妻氏「いま市場が悪者になっているが、公正な市場に徹底的に自由競争をしていただく。竹中・小泉改革は、セーフティネットが不十分で大変な問題が噴出した」
<政府の役割と経済運営>
自民・園田氏「少子化。今後の国のあり方では、これをどう克服できるかが最大の課題だ。将来に向けて具体的な政策を挙げて対処していくことが必要」
自民・園田氏「内需拡大基盤をもう一度作り直す必要がある。そのために、地方の力をつけることは極めて大事。同時に、農業・林業、中小企業が力をつけられるような対策を何カ年か重点投資することが必要。今回の経済対策はその初年度としてつけた。継続しなければ経済的な意味(効果)は達成できない」
民主・福山氏「『日本は総中流社会』は幻想になった。医療・年金・介護は底抜けし国民の不安が広がっている。セーフティネットを整備しなければ、消費行動・投資行動、将来の安心にもつながらない。セーフティネット整備が焦眉の課題。そのためには可処分所得を増やす政策を取る必要がある。また分権の仕組みを整える。その手法として予算を組み替え税金の無駄使いをやめる」
(ロイターニュース 吉川 裕子)



